発送作業で障害者の雇用促進も

 古着deワクチンはどのような経緯で誕生したのでしょうか。サービスを運営する日本リユースシステムの今野優子氏にお話を伺いました。

 今野氏によると、同社はもともとリユース品・リサイクル品の輸出を行なっており、「日本で捨てられている衣類のうち、9割以上がまだ着られる良質なもの。海外では再利用できる」と感じていたとのこと。そこで、どうすれば利用可能なものを捨てない仕組みが作れるかを考え、放置自転車を引き取るビジネスを始めたそうです。同じように家庭からも大量に捨てられる衣類などを捨てさせない仕組みとして誕生したのが、古着deワクチンでした。まだ着られる服や思い入れのある服を捨てるのではなく、気持ち良くリサイクルしてもらいたいと考えたそうです。

 サービスがスタートしたのは7年ほど前。日本リユースシステム、リクルートマーケティングパートナーズと認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」が協同企画し、事業を運営してきました。これまでのワクチン寄付人数の合計は149万2155人。衣類総輸出数は約1284万9550着(2017年12月現在)。利用者の中心は30〜50代の女性で、累計24万人以上が利用しているそうです。

 サービス開始当初の2010年はリクルートライフスタイルの通販サービスで取り扱っていましたが、そのサービスが終了。そのため、2013年からはリクルートの赤ちゃん&妊婦向け通販サイト「赤すぐnet」に引き継ぎました。しかし、2017年9月15日に赤すぐnetの通販事業が終了が決まったことで、古着deワクチンのサービスも終了することに。ですが、販売終了を知った多くの人から「サービスを継続してほしい」といった声が上がり、9月16日から日本リユースシステムの公式サイトで直接販売することになったそうです(企画は引き続き、リクルートマーケティングパートナーズ、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」と共同で行っています)。公式サイトでのサービス提供に切り替えた際に、宅配クリーニングを行う企業など、古着deワクチン同様に片付けに関連性のある企業3社と協業し、相互送客やクーポンの配布などを始めたとのこと。

 さらに、今回のリニューアルのタイミングから回収キットの封入作業を福祉作業施設に依頼。古着deワクチンが障害者の雇用にもつながるようになりました。

東京都国立市にある福祉作業所「天成舎」で作業の様子(日本リユースシステム提供)
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 また、引き取った衣類などは国内で簡単に選別された後、国外でさらに170種類以上に選別し、カンボジア、ミャンマー、ラオス、タイなど各国に送って販売しているとのこと。日本の製品は品質が良いので、ユーズド品でも非常に人気があるそう。衣類を海外に寄付しているのではなく、輸出販売することによって、現地で新しい雇用が生まれます。寄付ではなく、「売り物」として活用することで、ビジネスとして長期的に運営でき、結果的に支援につながると考えているそうです。今野氏は「寄付は一時的な支援にはなるが、雇用を生み出すことはできない。慈善事業ではなく、ビジネスとしてこのサービスを提供し続けたい」と話します。

カンボジアの店舗。制服を着ているのは現地の販売員です(日本リユースシステム提供)
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 利用によってワクチンの寄付や障害者の雇用促進、開発途上国での雇用創生ができる古着deワクチン。これらのストーリーを知ることで「いつもは捨てていた衣類を、このサービスを使って活用してもらいたい」と考える人は多いのではないでしょうか。

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安田美香
ホリプロのアナウンス部に所属。立教大学文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科にて、芸術学修士号取得。小学1年生の男の子と保育園年少の女の子の子育て中。1人目を出産後、”子育ての孤独”を感じた経験から「ホリプロ保育園」えんちょー、「3・3産後サポートプロジェクト」発起人などをつとめ、子育ての声を集め発信している。Jリーグ中継リポーター、TBSラジオ「伊集院光とらじおと」(水曜アシスタント)などに出演中。
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