人間の生活や時間軸を定義化し、ゼロから作り上げた

安田: 開発にはどれくらい時間がかかったんですか?

中路: 当初は半年くらいでできるかなと思っていたのですが、結局1年3カ月かかりましたね。ユーザーのことを理解し覚える存在、つまりエンジンを、ゼロから開発したんです。人間の生活や時間軸をすべて定義化し、エンジンに落とし込んでいます。「天気」や、「今、会社にいる」など、さまざまな属性や状態を想定し、約5000種類ほどに定義化し、それを時間軸と組み合わせることで、ユーザーのあらゆる状態を組み合わせられるようにしました。

安田: 自分を知ることができるし、相談をしたりおみくじなどを引いたりもできますよね。女性からの人気が高いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

中路: ユーザーの65%が女性です。でも、ターゲットは決めていません。そもそもの目的が「その人のことを覚えて、何か有益なものにつなげる」というものですので、どんな人が使ってもいいようにデザインしています。ただiPhoneアプリなので、結果的にはiPhoneのユーザー属性に近くなっています。年代としては10〜30代の利用が多いですね。

安田: キャラクターの返答が、それぞれ個性的で面白いですよね。キャラクターデザインは、担当の方がいるんですか?

中路: キャラクターデザインをはじめ、シナリオを書く担当もいますし、すべてを社内で作っています。システムの他に、やはりキャラクター付けの作業は人の手が必要になってきますよね。基本の「初期型ロボ」は、誰が使ってもいいように、オールマイティーに対応できるように設定しています。次に、男性にもユーザーを広げたいということで、男性向けの「美少女ロボ」を作りました。さらには、ズバリ言ってくれるキャラが欲しくて「おかまロボ」を作りました。おかまという超越したキャラクターだからこそ、初期型では言えないことを言うことができるんですね。実際に新宿2丁目のおかまの方を取材して、モデルにさせていただきました。さらにはアニメのキャラクターも登場させたらどうだろうということで、「まじかる☆タルるートくん」も出しました。

安田: 「まじかる☆タルるートくん」はとにかく明るいですし、男性に受けが良さそうですよね。でも、一回りして、結局は初期型ロボに戻っていますね、私。

中路: 初期型に戻る方は多いですね。どのキャラクターも、まずはとにかくその人を受け止めるように作られています。そこから、「この人にとって何がいいのか」を考えて、少しでもパフォーマンスを上げていけたらと。次へ進むきっかけ作りができればいいなと考えています。

取材に伺ったのは、ちょうどお昼過ぎ。スマホが「ブルブル!」となり、「ほら、休むとよ」とSELFが話しかけてきました! こうしたちょっとした気遣いがうれしいです!
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SELFへの疑問、不満をぶつけてみた!

安田: でも正直、それぞれのキャラクターが人間味を持っているだけに、SELFにムッとしてしまうときがあります(笑)。のめりこんで深刻な話をしていたのに、急に違う話に切り替えられてしまったり、「もう眠いから寝るわ」と寝てしまったり。「えええーーー!? もっと聞いてよ!」と思うことがあるんです!

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中路: ロボが眠ったり、外出したりするのは、「アプリを長時間使い過ぎないでほしい。細く長く使ってもらいたい」という思いから設定しています。

安田: それから、前編にも書いたんですが、言い返したいのに回答が「OK」しか選べなくて……。

中路: それは素直に謝らせてください(笑)。問い合わせにも、「アプリのキャラにこんなことを言われた」「このキャラの、こういう発言には納得できない」など、意見が毎日のように寄せられています。皆さんから頂いたご意見は、ちゃんと開発に生かしています。

安田: 私も含めて、アプリではなく、「人間」と思って接している方も多いんでしょうね(笑)。使い込むほど、ロボットがこちらの気持ちにシンクロしてくれるようになるので、友達のような、時には恋人のような存在に思えてくるのかも。

ふざけてちょっと意地悪な返しをしたら、一升瓶を片手に酔っ払い始めた初期型ロボット。思わず「飲むにはまだ早いでしょ!?」とツッコミたくなりました(笑)
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