起業が軌道に乗ったら、東京で待つ彼女を呼び寄せたい

 広島で新しい一歩を踏み出した山口さん。起業は厳しい道ではあるが、満足のいく仕事に手応えを感じている。その手応えを支えているのが、プライベートの充実だ。なかでも、「通勤環境の改善は大きな変化だった」という。

 「東京では毎日、満員電車で通勤していました。今の事務所は市内の中心部にあるシェアオフィスですが、歩いていける距離。ストレスがなくなったのはもちろんですが、物理的に時間もできましたね。時間ができたことで、ライフスタイルも徐々に変わりつつあります。帰り道に、スーパーに寄る時間ができて、自炊を始めました。以前は外食ばかりでしたが、今は朝夕の食事は必ず家で食べています」

趣味は旅行。東京にいるときも、秋田県や島根県に足を運んだ。「今はしまなみ海道を渡って四国に行ってみたいですね」
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 自炊自体は小さな出来事かもしれないが、「自分でも気持ちに余裕ができたのが分かる」というほど精神的に大きな変化になった。休日は市民プールで泳ぐなどオンとオフのスイッチがはっきりして、生活にメリハリがついたという。とはいえ、まだまだ生活の中心は仕事。「広島に移住してきたけど、まだ満喫できているとは言い難いですね」と笑う。

 「せっかく広島にいるのだから、橋で渡れる四国にも行ってみたい。鳥取県や島根県の県境をドライブするのもいいですね。これからの楽しみです」

 実は山口さん、東京に残してきた彼女がいる。広島での生活が軌道に乗ったら、呼び寄せるつもりだという。移住のきっかけの一つになった広島旅行で一緒だったあの彼女だ。「広島のことを気に入っていて、移住にも賛成してくれました。彼女を呼ぶといった目標もやりがいになっています」と少し照れながら教えてくれた。

 移住して起業というと、ハードルが高い印象を持ってしまう。しかし、「<ひろしま暮らしサポートセンター>や<ひろしま創業サポートセンター>をうまく活用することで、自分一人では難しいこともなんとかクリアできた」と山口さん。取材後は、造船所から仕事を受注している同業者との打ち合わせに向かうという。移住して半年、少しずつではあるが、着実に地域のネットワークに根を下ろしつつあるようだ。

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