移住と同時に起業が目標。しかし、大きな落とし穴を指摘される

 起業する土地を広島県に決めた山口さん。まずは、自分でできる範囲で情報収集を始めた。目に留まったのは、有楽町の交通会館にある<ひろしま暮らしサポートセンター>だ。その時点では、県内のどこに移住するか、移住後どのように起業するかなど、具体的なビジョンはゼロ。本人いわく「全く見通しが立っていない状態」。とにかく足を運び、疑問や不安をぶつけることにした。

 最初に対応してくれたのが、ひろしまライフスタイリストの平野奈都子さんだ。「移住地の第1希望は広島市。移住と同時に起業をしたい旨を伝えました。最初に指摘されたのは、家探しのこと。東京でも引っ越しを経験していたので深く考えていませんでしたが、これが落とし穴でした」と当時を思い出して苦笑いする山口さん。退職して仕事がない状態で移住をしようとすると、なかなか家を借りることはできないというのだ。

 「私の場合、平野さんが推奨してくださった創業サポーターの方を通じて、移住の経緯や目的を不動産会社に伝えてくださったので、スムーズに契約することができました。私一人だったら、絶対につまずいていたと思います。家探しがうまくいかなかったら、起業もスムーズに進まなかったでしょうね」

 移住に加えて、山口さんにはもう一つ重要な相談事があった。起業の問題だ。前職では構造計算だけでなく、見積もりの管理や納品作業なども担当していたので、ビジネスに不安はない。しかし、会社を立ち上げるのは、初めてのこと。

 「起業に関しては、ひろしま産業振興機構が手掛けている<ひろしま創業サポートセンター>を活用しました。そこには、創業計画などを一緒に考えてくださるのですが、そのサポーターの一人である福田さんという方を紹介していただいたんです」

 地方企業は、地元のネットワークが強いと考えた山口さん。福田さんに「インターネットには出てこないような情報はどうやって収集すればいいか」を尋ねたという。そこで提案されたのが、スタディーツアーへの参加だ。

 「スタディーツアーとは、いわゆる現場体験プログラム。大崎上島町にある造船所を訪問するツアーを教えてもらいました。こういった取り組みをネットで探すのは、意外と難しい。現地の人の話を聞けたり、実際の造船現場を見られたりするのは、とても有意義でした」

「スタディーツアーは交通費や宿泊費も主催者側の負担。節約できて、とてもありがたかったですね」と山口さん
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 実際に広島に足を運び、ひろしま産業振興機構の人からアドバイスも受けながら、無事、起業を実現した山口さん。起業後も、税理士や社会保険労務士を紹介してもらうなど、手助けしてもらっているという。

 「移住も起業も、一人だと厳しかった。広島への移住や起業を考えている人は、<ひろしま暮らしサポートセンター>にぜひ気軽に相談してほしいですね。有意義な情報も得られるし、いろいろと利用できる制度もありますよ」