引っ越しするくらいの気持ちで移住してもいいはず

 広島県の職員や広島経済同友会のサポートもあり、無事、職を得て移住を実現させた前田さん。移住後、彼女の生活にはどのような変化が表れたのだろうか。

 「特に変化が大きかったのは、映画製作の活動ですね。広島でできた仲間に、こんな映画を作ったら面白いかも、という話をしたら、賛同してくれる人が多くて、そこから一気に輪が広がりました。そこからは、映画作りが本格化。周りの人が協力してくれるので、東京では諦めたことにも挑戦できる。ただ、挑戦できるだけに、以前よりもすごく忙しいんです。もともとは女優だけしかやっていなかったのに、今では監督をしながら脚本・編集まで関わっています。よく言えば充実だけど、仕事が休みの日も動き回っていますね(笑)」

映画撮影では「広島マリーナホップ」でもロケを行った。そういった部分でも、会社の後押しがあるという
映画撮影では「広島マリーナホップ」でもロケを行った。そういった部分でも、会社の後押しがあるという
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 今でも、東京時代の仲間とは連絡を取るし、励まされることもある。しかし、「東京にいたら、きっとこんな経験はできなかった」とも振り返る。

 「女優としては、東京のほうがチャンスは多いはず。それでも、広島で活動を始めた今のほうが充実しているのは、なんだか不思議です」

 仕事だけでなく、女優活動にも新しい可能性を得た前田さんは、広島への移住についてこう語る。

 「友人や知人に移住したことを伝えると、スゴイ!といった反応も多い。でも、ただ引っ越しただけ、とも言えますよね。移住に少しでも興味があれば、難しく考えすぎずに一歩踏み込んでみればいい。逆に、東京に思い残すことがあれば、頑張ってみればいいんです。私は、東京に思い残すことはなかった。あまり偉そうなことは言えないけど、自分が後悔しない選択をしてほしいですね」

 移住して1年。インタビューも、すでに広島弁のイントネーションだ。そのことを指摘すると、「頑張って覚えました。やっぱり、地元の言葉を話せたほうが受け入れてもらえるでしょう。いつまでもお客様じゃないですし。こうやって、少しずつ広島の人間になっていくんだと思っています」とのこと。その清々しい笑顔は、すでに広島になじんでいるようにも見えた。

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