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 番組の最後に流れるスタッフロール。かつてNHKでは、ディレクターはなぜか「構成」という肩書きで表記されていたのをご存じだろうか? 現在は「ディレクター ○○○○(名前)」と普通に出ているが、かつては「構成 ○○○○」と表示されていた。例えば、『NHK特集』や初期の『NHKスペシャル』を担当したディレクター名は、必ず「構成」という肩書きだったのである。

 たしか私がこの業界に入った16年ほど前には、すでに「ディレクター」という表記に変わっていたように思う。たしかに、ディレクターが「構成」という肩書きでは紛らわしい。「演出」という表記ならまだしも、「構成」という肩書きがディレクターのことを指しているなんて、一般視聴者はピンと来ないだろう。業界人が見ても「構成作家のことを指しているのか?」と勘違いしかねない。

 だが、私は最近、かつての「構成」という表記は、まさに「ディレクター」という仕事の根本を捉えた、とてもいい肩書きだったと見直している。「結局、ディレクターとは何をする仕事か?」を突き詰めて考えると、「構成する仕事である」という結論に至るのだ。

 そもそも「構成」とは何なのか? 構成は、「物語を語ること(ストーリーテリング)」とも言い換えられる。ある出来事を、相手の興味を引きつけながら魅力的に語ることだ。では、どうすれば魅力的に語れるのか? 最も重要なのは、構成要素の「選択」と「並べ替え」だ。つまり、「何を、どういう順番で語るか」がストーリーテリングの基本であり、それこそが「構成」なのである。

 「なんだ。選んで、順番を変えるだけのことか……」と思われるかもしれないが、これが実に奥が深い。ダラダラ説明されると退屈な話も、始めに「つかみ」があって興味を引かれると、時間を忘れて話に引き込まれる。お笑いには「フリ」があって「オチ」がある。ミステリーには最初に「謎」があって、最後にあっと驚く「謎解き」が待っている。

 つまり、「始まり」と「終わり」の間をどういう流れで“構成”するかによって、物事の“伝わり方”は一変するのだ。また、構成の良し悪しは、作品のリズムやテンポにも影響する。いかに最適な構成を見出すかを巡って、世界中のクリエイターは日夜、腐心していると言っても過言ではない。ジャンルの違いや予算の大小にかかわらず、

 「あらゆるコンテンツは“構成”から逃れられない」

 のである。なぜなら、コンテンツは基本的に「時間」という概念に縛られるからだ。