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 「作品の“クオリティー”は“情報量”で決まる」

 前回のコラム(「ジブリ、テレ東番組から考える『クオリティーって何?』」)でそう述べたが、クオリティーが「情報量(データ量)」で決まるなら、例えば「実写のほうがアニメよりきめ細かな映像なので、クオリティーが高いことになるのか?」というツッコミがあるかもしれない。だが、当然、そう単純な話ではない。

 ここで言う「情報量」について、川上量生さん(KADOKAWA・DWANGO社長)は、前回も取り上げた著作『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと』(NHK出版新書)の中で“人間の目(視覚)の構造”からひも解いて説明している。

 人間の網膜は中心部ほど視細胞の密度が高く、中心にあるものほどハッキリと見えて、周辺部はぼやけて見える。「見たい」と思う目の前の対象にピントが合い、より細かく見ることができるため、人間の“主観”が捉える現実では、自分が注目しているものは実際よりも“大きく”見えているのだという。

 こうした人間の視覚構造が捉える“主観的な現実”とうまく合致するのが、宮崎駿監督の作品だという。宮崎監督が描く飛行機は、実際の縮尺よりも“大きく”描かれていることが多い。だが、そのほうが“人間の脳が認識しやすい”ため、現実を客観的に描いたものより、“観客が受け取る(主観的)情報量”は多くなる。だから、宮崎駿作品に登場する飛行機は、私たちに鮮烈な印象を与えるのだという。

 私はこの話から、最近、疑問に思っていた謎が一つ解けた気がした。