『哲子の部屋』『ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」』など、独自の切り口のテレビ番組を企画・制作するNHKエデュケーショナルの佐々木健一氏が展開するコンテンツ論の第25回。

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 先日、スティーブン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』を夫婦で鑑賞した後、ふと妻がこんなことを言った。

 「すごく面白かったけど、この映画って、どういう意図とか狙いがあったんだろう?」

 社会派ドラマなら作品の意義や価値を感じる一方で、痛快な娯楽作を見た後にはこうした読後感を抱くことはよくある。「映画は面白ければそれでいい」という見方もあるが、でも、今回ばかりは「それだけじゃない」と感じて、思わずこう返した。

 「この映画のテーマは“継承”じゃないかなぁ」

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 もちろん、そんなことは直接、映画では語られていない。むしろ、劇中終盤で語られるのは、「バーチャルの世界もいいけど、リアルの世界もいいよね」というせりふ。それを額面通りに受け取っても、「そんなことをわざわざ言われても……」と感じるだけだ。

 『レディ・プレイヤー1』には原作があるとはいえ、そのストーリーはスピルバーグという映画監督のオタクっぽさや、彼の人生と密接にリンクする内容だ。主人公の“ゲームオタク青年”はスピルバーグ自身であり、“バーチャルゲームの世界”を創り出した大富豪の老人もまた、彼自身を投影したキャラクターといえる。

 私たちが物心ついた頃から映画という“創造の世界”を牽引してきた“映画オタク青年”のスピルバーグ。彼も71歳の老監督となり、まさに今、いかに次世代へバトンを渡すかという立場にいる。

 大きな話題となっているのは、劇中に登場する過去のさまざまな映画やアニメ、ゲームキャラクター。そこから伝わってくるのは、単なる懐古趣味ではなく、それらを生み出した作り手への敬意や憧憬だ。日本をはじめとする世界中のクリエイターの仕事を最新技術によってよみがえらせ、現代の作品の中で生き生きと躍動させている。

 ネタバレになるので詳しく書けないが、劇中にはスピルバーグが敬愛するある監督のホラー作品が登場する。しかも、恐怖ではなく、爆笑を誘う場面として。劇場で思わず声を出して笑っていると、隣に座る10代の男子2人連れが訝しんでいた。世代の違いか、明らかに元ネタの映画を知らない様子だった。残念、見ていればより楽しめたのに……。

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