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 3月末で、長年フジテレビを支えてきた『とんねるずのみなさんのおかげでした』と『めちゃ×2イケてるッ!』の2番組が終了する。『みなさん』は前身番組から数えて約30年、『めちゃイケ』も『めちゃモテ』時代を含めて約23年も続いた長寿番組だ。フジテレビは今、「月9」などのドラマでも苦戦が続いている。

 ここ数年、ネットニュースでは毎日のようにフジテレビの凋落ぶりが伝えられている。「末期症状」「瀕死状態」といった厳しい言葉も躍る。フジテレビのバラエティ番組やドラマを見て育った世代としては正直、見ていて辛くなる現状だ。

 だが、“フジテレビ復活”の兆しは、かつて業界を席巻したバラエティやドラマではなく、意外にも情報系番組にあるのかもしれない。そう思わされたのは、毎週日曜22時に放送している『Mr.サンデー』の独自特集に、作り手の尋常ならざる“熱量”を感じたからだ。

 1月21日放送の特集「電車内で緊急出産 その時、乗客は見た!」は、同業者から見て「一体、どうやって撮ったんだ!?」と目を疑うような内容だった。放送の2日前に起きたJR常磐線の電車内で妊婦が出産したニュースを受け、わずか1日足らずで関係者への取材を元に「再現ドラマ」を撮影していたのだ。

 再現ドラマを作るには、想像以上に手間がかかる。撮影プランを立て、スタジオセットやロケ場所の確保、役者・衣装・メイク・小道具などの美術といったさまざまな準備が必要だ。ワンカットずつ照明やカメラポジションも変更して撮影し、それらの素材を編集してナレーションや音楽をあててようやく完成する。

 それを『Mr.サンデー』は、ほぼ1日でやってのけていた。しかも、そんな短期間で作ったとは思えない、普段の特集と変わらぬクオリティだった。宮根誠司キャスターもVTRを見て思わず、「この再現ドラマ、1日で作ったの? 本当に!?」と目を丸くしていた。私も同感だ。業界の常識では考えられないことなのだ。ほかの番組なら、めくりボードやモニター演出で済ませてもおかしくないだろう。

 これまでも『Mr.サンデー』は、埋もれたニュースを再現ドラマ化して見せてきた。そうした積み重ねがあるからこそ、1日足らずであのようなVTRを作ることができたのだろう。ウィークリーのワイドニュース番組は、その週の主な出来事を振り返るVTRとスタジオコメントだけでも十分に成立する。実際、そうした番組がほとんどだが、あえて手間のかかる演出を貫く姿勢に作り手の矜持を見た。