2017年は、1987年に国鉄が分割民営化されて30年というアニバーサリーイヤー。JR各社では、30周年を記念してさまざまなイベントが展開された。

 なかでも目を引いたのが、社員研修センターの公開イベントだ。車両基地や車両工場の一般公開は毎年の恒例行事になっているが、研修センターが公開される例はほとんど聞いたことがない。

 公開といっても、誰でも自由に入れるというわけではなく、抽選で当たったり、特別なツアーに参加したりする必要があった。今回は10月末に開催された、JR東海の研修センターへのツアーに同行。秘密のベールに包まれた社員研修センターを探検してきた。

川もないのに鉄橋が!?

 東海道新幹線と中部地方の在来線を管轄するJR東海。同社の総合研修センターは、東京から120kmほど離れた静岡県三島市にある。東海道新幹線・東海道本線の三島駅北口から歩くとほどなく、川もないのに鉄橋が見えてくる。これは1877年(明治10年)に多摩川に架けられた東海道本線の六郷橋橋りょうで、御殿場線の第2酒匂川橋りょうに転用後、1965年に役目を終えて研修センターに保存されたもの。このように、実物と同じサイズのもので研修するのが、JR東海総合研修センターの最大の特徴だ。

六郷橋橋りょうは国内の鉄道橋の中ではかなり古い部類。奥に見えるのが総合研修センターの建物
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 2011年に建て替えられた建物は10階建て。4階までが訓練用の部屋と教室で、5階から上には2人1室の宿泊室が525室もある。JR東海では入社するとまず1~2カ月ほど、平日は泊まり込みで新入社員研修を受講。その後も車掌や運転士になるため、2~3カ月程度、やはり泊まり込みで研修が行われる。つまり研修センターは学校兼寄宿舎といったところ。実際、カリキュラムのなかには体育の時間も設けられており、体育館やグラウンドも用意されているというから驚きだ。

まるで学校のような体育館。壁には校歌ならぬ社歌の歌詞も掲げられていた
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 JR東海では小学生を対象に、今回初めて施設を公開。8月に無料で30組60人、10月には有料ツアーという形で181組468人が訪れた。JR東海の看板ともいえる「東海道新幹線」と「在来線」、さらに陽の当たることが少ない「保守」という3つの仕事について、半日という短い時間ながらも研修を体験するという内容だ。

10月28・29日に開催されたツアーはJR東海ツアーズやJTBなど4社が催行。東京発で大人が1万円台前半、子供が1万円弱だった
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 研修センターに到着した親子連れはまず大学の階段教室のような視聴覚室に集まり、新入社員さながらにセンター所長の訓示を受ける。これが終わると、班ごとに分かれて、いよいよ実際の研修体験に入る。

研修センターのスタッフの引率で体験に出発
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