埼玉高速鉄道の社長直々に売却の打診を受ける

 実際に食事が食べられる点も大きなポイントだ。残念ながら車両内の厨房で作られているのではなく、同じ敷地内にあるイタリアンレストランか蕎麦店からの配膳となるが、温かい料理が食べられるのはうれしい。価格はランチコースの場合、1880円だ。

1880円のランチコース。松花堂弁当風のイタリア料理だ
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 運営するピュアホームズは、川口市で建築業から介護事業、飲食事業など幅広く展開する企業だ。デイケアサービスなどを利用する高齢者でも気兼ねなく外食ができるよう、自社で飲食店を運営するようになったという。このグランシャリオも、サービス付き高齢者住宅と同じ敷地内にあり、入居者が子や孫を呼んで楽しく食事をする光景もよく見られるそうだ。

 北斗星がこの地にやってきたきっかけが面白い。同社と北斗星を結びつけたのは、実は埼玉高速鉄道の社長・荻野洋氏だというのだ。ピュアホームズ取締役の山崎真之介氏によると、地元のイベントの打ち上げの酒席で、JR東日本出身の荻野氏から「北斗星の寝台車を買わないか」と冗談とも本気ともつかぬ提案があったという。ピュアホームズとしては寝台車は必要なかったものの、食堂車ならば外食事業で活用できる。そこで後日、そう打診してみた結果、本当に手に入ることになった。しかも荻野氏はグランシャリオを運営していた日本レストランエンタプライズの社長・会長も歴任した人物。その縁で、グランシャリオという名前もそのまま使っている。

 不要となった車両を譲り受けたとはいえ、維持していく手間やコストは通常の建物より高いようだ。例えば電気。現役時のように電源車からの給電を受けられないため、クーラーは家庭用のものを別に取りつけた。照明やスピーカーは元からあるものを使っているが、配線が特殊でつなぎ直すのに苦労したという。給水タンクの代わりに水道管とも接続し、通路にある手洗い所もきちんと水が出るようにした。展示車両は野ざらし状態だと特定の箇所が錆びてきてしまうため、定期的なメンテナンスも不可欠。そこで、飲食代とは別に“乗車券”として別途500円を徴収し、車両を保全・維持するために使うそうだ。

車内に取り付けられたエアコン。極力目立たないよう、端の部分に設置されている
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室外機も隠れた位置に置かれている
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通路の途中にある手洗い場。現役の時と変わらず、ペダルを踏むと水が出る
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利用の際必要となる「乗車券」。車両の維持のための資金として使われる
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