VRが一番生きるのは、スクウェア・エニックスが得意なハイエンド分野

――2016年の業界動向はどう見ていらっしゃいますか?

松田氏: 旬なトピックスとしてよくVRが挙げられますが、これが一番生きるのはハイエンドの世界なので、我々の得意分野だと思います。今はいろいろなサービスが立ち上がってきた段階なので、限定的になるかもしれませんが、VR関連の発信をしていきたいと思っています。

――VRで注目しているプラットフォームはありますか。

松田氏: 今のところコンソール、PC、業務用のすべてを対象に考えています。業務用と言っても、必ずしもゲームセンターに限らないのですが、アミューズメント施設向けを念頭において、現在開発中です。家庭用VRは企画段階ですが、いろいろと進めています。

 VRは、ゲームだけでなくいろいろな使われ方をすると思うんです。新規参入もあるでしょうし、少しずつ積み重なってVRは広まっていくでしょう。

 おそらく数年後には、家庭用ゲーム機などに通常モードに加えて、“VRモード”が標準実装されているのではないでしょうか。ちょうど、シングルプレーのゲームがオンラインでつながることで、マルチプレーモードが加わったように。すべてのゲームをVR化するのは非現実的ですが、徐々にVRモードが当たり前になってくると思います。

――ほかに注目されている動きはありますか。

松田氏: 既にお話しましたが、スマートフォン向けの有料ゲームには、コンシューマー機と並ぶもう一つのマーケットと認識して力を入れていきたい。シングルプレーのがっちりとしたゲームをスマートフォンでも楽しんでいただくという戦略です。VRと並ぶもう一つテーマですね。また、スマートフォンにゲームの出口が広がることにより、例えばファイナンスの仕組みにも変化があるかもしれません。

――ゲームタイトルも映画のような製作委員会方式になるということでしょうか。

松田氏: ファイナンスに関しては、ゲーム業界は映画やアニメなどの他業界に比べて、まだまだ導入の余地がありますので、引き続き研究が必要だと思いますね。

――なぜこれまでできなかったんでしょうか。

松田氏: 一つは売り方の問題です。例えば、映画には興行の後に、DVD化があったりテレビ対する放送権料があったりと収益化できる窓口がたくさんあるため、投資を回収する確度を高められる。ところがゲームの場合は、極論すれば、伝統的に売って終わりになっていた。そうなると、投資する側にしても回収リスクが高まります。

 だから、収益の窓口が増えることは、大きな意味があると思います。投資家と話をしてみると、映画などに比べて、ゲームはまだまだ知られていないと感じることが多いですね。ゲーム産業全体のモデルが大きくなって、投資家の認識にも変化が現れて、ファイナンスの仕組みが変わってくるのはいいことだと思います。

スクウェア・エニックス・ホールディングス/スクウェア・エニックス 代表取締役社長の松田洋佑氏
[画像のクリックで拡大表示]