多言語サーバーを用意して世界戦略へ

――打率と予算規模がスパイラルに上昇していくということですか。

片岸氏: はい。ですので、成功事例を踏襲して収益性の高いディールもやるんですけど、一方で「チャレンジする枠」というのを別で設けて、そこでもどんどんやらせるわけです。PUBGもそうですが、海外からの案件もどんどん増やしていきたいです。

――海外のユーザーも狙っていくのですか?

片岸氏: ええ、Steamと同じです。世界中の方々に日本のサイトに遊びに来ていただいて、そこで収益化していく形に変えようと、準備しています。日本で生産されたIPだったりゲームだったりを世界に提供して、それを収益化するという方向です。そういう考え方でいかないと生存できない、と考えています。

――主戦場はもう日本じゃなくて世界ですか?

片岸氏: そこまでは言いませんが、世界中のゲームデベロッパーのテスト課金だけでも結構収入にはなるという考え方もできるじゃないですか。例えば、中国でゲーム業界に従事している人は、おそらく2000万人くらいいると思っています。その人々は、ちょっとはやったくらいのゲームでも課金してくれるかもしれない。多言語化したサーバーを用意することで、それだけのユーザーが手に入るなら、すごく効率はいい。

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――世界相手だから大規模投資が必須かといったら、それだけでもない。

片岸氏: 例えば、PlayStation4の大型タイトルで開発に50億円かけました、マーケティングコストは何億円です……という世界では、グローバル戦略の考え方も我々が取り組んでいるのと全く別でしょう。我々の場合はPCゲームを数千万円で作ったりしているのですが、実績から考えれば、後から簡体語字幕を付ければなんとかなるかな……という、あんまりかっこよくないけど、地に足の付いた発想なんです。

 例えば、Steamのヒットランキングは完全に二極化していて、2人で作ったインディーズゲームと、200億円規模で作ったゲームがランキングトップ10に並んで入っていたりします。そういう中で、僕らは「メガヒット、メガIPに頼らない」という戦略を採っていまして。僕の中では、「凡人がみんなで頑張って生きていく」という会社を目指しているわけです。言い換えると、天才的なクリエーター、巨大なIPにあまり頼りたくない。凡人が生きにくい会社になっちゃうので(笑)。

――だから「サブカル」なんですね。

片岸氏: コンテンツが細分化されて、それぞれに好きな人たちがいる。個人に最適化されたコンテンツが提供できる時代になりました。宮崎駿です、ジェームズ・キャメロンです、何百万枚出荷しました、ということより、むしろスモールな、局所的な趣味嗜好の人たちに向けたコンテンツを提供していくというのが、流通がいらなくなった世界には適しているんじゃないかなと。持論ですけど、そう思っています。

 DMM GAMESは仲介者と認識しています。アーティスト寄りな考え方になると収益性を度外視してしまいがちですが、思いは大事でもそれだけではコンテンツは作れないし食べていけない。なので、その間に入って、せめて飯だけ食えるようにしよう、みたいな。このくらいの緩い発想でやらないと、収益性のみに縛られて、結局、型にはまったもの、テンプレートに陥っていく。我々のような「サブカルを作って何とか食っていこう」という道では、アーティスト指向に寄り過ぎると危険だなと思って経営しています。