ディープラーニング(深層学習)が世の中を変えつつある。コンピューターは、人間を超えるレベルで画像/音声を認識し、目が見えない人に周囲の状況を説明したり、車を運転したりできるようになった。ディープラーニングの驚異的な進化を裏から支えているのは、膨大な計算を可能にする「GPU(Graphics Processing Unit)」だ。GPUの最大手、NVIDIAで働く人たちが、ディープラーニングのすべてを解説する。

 「AI (人工知能)」や「ディープラーニング (深層学習)」がブームだ。そして、そこで重要な役割を果たす「GPU(ジーピーユー、Graphics Processing Unit)」というデバイスにも注目が集まっている。様々なメディアで、これらの話題が取り上げられるのを目にした方も多いだろう。

 しかし、「なんとなくすごそう、便利に使えそう」といった印象は受けるものの、それらがどのような仕組みで実現され、自分の生活や仕事にどう役立つのか、具体的なイメージがいまひとつわかないという方も多いに違いない。そこでこの連載では、AIとディープラーニングの今とこれからを、具体的な事例と技術解説を織り交ぜて、わかりやすくお伝えする。ディープラーニングの活用は、すべてのビジネス分野でスタートしたと言っても過言ではない。明日、あなたの上司が「この業務、ディープラーニングを活用できない?」と言うかもしれないのだ。この連載を読んで、「あー、ディープラーニングですね」と受け答えができる程度の知識は身に付けておこう。

「AI」「機械学習」「ディープラーニング」とは何か

 「AI」「機械学習」「ディープラーニング」といった言葉は、どのように使い分けるべきか、そこから解説しよう。

 「AI (人工知能)」は、最も「大きな」概念である。究極的には、人間と同じように思考できる、まさに「知能」を持つ機械が想起されるが、現段階では、特定の用途において人間の知能の肩代わり、あるいは補助を行うもの、という程度に捉えるべきだろう。

 AIを実現するために大きな役割を果たしているのが「機械学習」という技術だ。人間は経験を基に学習を重ね問題解決能力を高めていく。同様に、コンピューターにデータを与えて学習させることで、未知のデータに対して適切な対応ができるようにすることを目指すのが機械学習だ。

 この連載の主眼となる「ディープラーニング (深層学習)」は、機械学習の一分野だ。インターネットの発達で膨大な学習用データが収集可能になったこと、GPUにより高速な並列計算が安価に実現できるようになったことが、ディープラーニング隆盛のきっかけとなった。どの辺が「ディープ」なのかは次回以降解説していくので、楽しみにしていてほしい。

 以上3つの言葉をまとめたのが下の図だ。1950年代から今にかけて、時代的な移り変わりもあった。AI、機械学習、そしてディープラーニング、大きな流れをつかんでいただけただろうか。

AI、機械学習、そしてディープラーニング
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