“スティーブっぽい”プレゼンを目指すな

 それでは、説得力があって人を感動させるプレゼンとは何だ、という議論になると、どうしても具体的なハウツーの話に終始しがちです。スティーブ(創業者のスティーブ・ジョブズ氏)っぽい、アップル風のスタイルを真似たい人、実際に真似している人が多かったりします。でも、誰かのスタイルをなぞることに意味はありません。

スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンは皆の憧れだが……。写真は2008年の「Macworld Expo」で「MacBook Air」を持つジョブズ氏
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 プレゼンに一番大切なのは、「本当に自分がいいと信じていることを自分の言葉で話すこと」。シンプルにこれに尽きるからです。型にはまらなくていいんです。アップルがこうだから、スティーブがこうだから――そんなことは気にしなくていい。スタイルをそのまま模倣するのではなく、なぜそのスタイルが感動を呼ぶのだろうと考えて、同じ意味合いのことを自分らしくやるのが一番です。そうすれば、自然と前を見て話すことになるし、いわゆる“目力”だって効くようになります。

 自分の考えを自分の言葉で話すとき、付け焼刃は役に立ちません。日ごろからいろんなことに対して、自分なりの見解を持つことが重要です。それには、何かを見たときに自分がどう思うのか、自分にとってこれはどんな話なのか、と日々考えるクセを付けていくことです。

 これは何も経営陣に限った話ではありません。日ごろから考えていなければ、新製品発表会にしろ社内の会議にしろ、自分の意見が言えるわけがないですよね。社内の会議で上司からふと「これどう思うの」と聞かれて、「いやー、いいと思いますよ。最近、それトレンドだし」なんてさえない返事をしてしまったことはありませんか? そうならないように、自分なりのものの見方を確立できるように、考えることを習慣づけていってほしいですね。

(構成/赤坂麻実)

前刀 禎明(さきとう よしあき)
前刀 禎明(さきとう よしあき) ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー、AOLなどを経て、2004年、アップル米国本社マーケティング担当バイス・プレジデント(副社長)兼 日本法人代表取締役に就任。日本独自のマーケティング手法でiPod miniを大ヒットに導き、スティーブ・ジョブズ氏に託された日本市場でアップルを復活させた。米国本社で行われるジョブズ氏主催のエグゼクティブ・ミーティングに参加した唯一の日本人でもある。2007年、リアルディアを設立。創造的知性を磨くセルフ・イノベーション実践プログラムや五感ワークショップの提供、感性アプリの 開発を手がけている。最新アプリは「DEARWONDER」。著書に『僕は、だれの真似もしない』(アスコム)などがある。
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