アナログ感覚を見直すと面白い

 話が横道にそれましたが、2018年のデジタル製品の進化ポイントとしてもう一つ挙げたいキーワードが「アナログ感覚」です。

 例えば、iPhoneで写真を撮るとき、図らずも連写になって、自分でびっくりしている人をたまに見かけます。あれはiPhoneのカメラにはボタンを押した手ごたえがないからではないかと思います。デジタルカメラでは、シャッターボタンを「半押し」してピントを合わせたり、シャッターボタンを軽く押してスリープモードから復帰させたりと、人間の触覚を生かした操作法が取り入れられています。アイコンをタップしたりフリックしたりするのとは違う、アナログな方法です。

デジタルカメラでは「半押し」といったアナログ感覚の操作法が一般的(画像素材:Rina / PIXTA)

 こうした触覚を生かした操作法は、スマートフォンになってずいぶん減ったのですが、改めて見直すと面白いんじゃないでしょうか。人間の繊細な触覚をうまくUIに取り入れると、何段階ものメニュー選択で実現している操作を簡便にしたり、コツをつかんで機器を使いこなす満足感が得られたり、ユーザーエクスペリエンス(UX)が向上しそうです。iPhoneには「3D Touch」がありますが、タッチの差が細かすぎて、いま一つ使いにくいので、改善の余地があると思います。操作が複雑になってしまい、シンプルさを失っていますから。

 ここまで言うと、やや飛躍が過ぎるかもしれませんが、使うことで、その人の感覚がとぎすまされる、人間の性能を高めてくれる、そんな機器の登場も今後は期待したいところです。これまでは、便利な機器が開発されて、人間がすることが減る分、人間の性能は下がっていくという側面がありました。これからは、機器があることで、感性が磨かれ、人がより良くなる方向へ、大きく転換していけるといいですね。

 2018年、今年も新しいデジタル機器が多数登場することでしょう。僕が想像する以上の進化が起きることを願いつつ、今年もさまざまなデジタル製品やマーケティングに注目していきます。

(構成/赤坂麻実)

前刀 禎明(さきとう よしあき)
前刀 禎明(さきとう よしあき) REALDEAR社長。ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー、AOLなどを経て、2004年、アップル米国本社マーケティング担当バイス・プレジデント(副社長)兼 日本法人代表取締役に就任。日本独自のマーケティング手法でiPod miniを大ヒットに導き、スティーブ・ジョブズ氏に託された日本市場でアップルを復活させた。米国本社で行われるジョブズ氏主催のエグゼクティブ・ミーティングに参加した唯一の日本人でもある。2007年、リアルディアを設立。創造的知性を磨くセルフ・イノベーション実践プログラムや五感ワークショップの提供、感性アプリの 開発を手がけている。最新アプリは「DEARWONDER」。著書に『僕は、だれの真似もしない』(アスコム)などがある。
【Instagram】 yoshiaki_sakito
【Facebook】 www.facebook.com/100014069550805
【NewsPicks】 newspicks.com/user/1953823/