VRならではのゲームを作り続ける

━━コロプラの動きで気になるのは、VR(仮想現実)ゲームの動向です。現在、どうなっていますか。

森先氏: すぐに投資が回収できるような環境ではなく、市場と呼べる規模になるにはまだしばらくかかるでしょう。2017年も将来の準備期間といったところではないでしょうか。しかし、もともとそう思ってやってきているので、特に驚いているとかいうことはありません。

 2016年は「VR元年」と呼ばれ、大手の有力なVRデバイスが3種類登場しましたが、今はその熱がいったん落ち着いた感じがします。ユーザーの方たちにとってVRはただの夢ではなくなって、多少現実味を帯びてきたからでしょう。ソニー・インタラクティブエンタテインメントの発表によると、今年2月19日までのPlayStation VRの全世界出荷台数が91万5000台ということですから、他のハードを合わせてもそれほど多く出回っているわけではありません。ですから、まだ商売にならなくても当たり前だと思っています。

━━そうなると、今年はVRゲームについては多少、様子見といったところでしょうか。

森先氏: 実はVRにおいて大切なこと、どういう技術の検証が必要なのかといった根本的な考え方は最初の頃とあまり変わっていません。VRにふさわしい体験をしてほしい、VRにふさわしいゲームを作りたいと考えているので、コロプラはVR専用タイトルを開発しているのです。とはいえ、未体験の人に「VRってどうなんだろう?」と思わせるフックのようなものは必要だと考えています。その辺りの試行錯誤をするのが今年でしょうね。

 これまで先行して開発してきたので、さまざまなVRの問題は解決しつつありますから、できることは増えてきました。この先、VRゲーム市場が本格的に立ち上がったときに勝負するために何を上乗せしていくのか、それを考えるのが今だという気がします。開発チームも結構な規模になっていますから、様子見などではなく、今年、そして来年を信じてこれまで通りやり続けていきます。

━━“VRならでは”のゲームとは、どういうものなのですか。

森先氏: 去年の3月に『Fly to KUMA』というパズルゲームをリリースして、最初は「これってVR向きだな」と思っていたのですが、ちょっと操作が難しい。ゲームとしては面白くても、大変だなと感じる人も多いだろうと。もっと感覚的に遊べるものが向いていると思うようになりました。例えばホラーや音楽のように、現実世界では体験できないけれど想像したことはあるようなものを、もう一つ別の世界を用意して再現する、そうしたものが適している気がします。VRである必要があるのかではなく、VRでしか体験できないものを提供するのが正しいのでしょう。

 いろいろな実験も必要になるので、こうした考え方やノウハウは、やはり作り続けなくてはなかなか得られません。新しいプラットフォームが生まれるときは、新しいスターが生まれるものです。それに期待していますし、願わくはその中にコロプラがいたいですね。

『Fly to KUMA』(C)2016 COLOPL, Inc.
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
TOKYO GAME SHOW 2017 公式サイト
日本ゲーム産業史
ゲームソフトの巨人たち
日本ゲーム産業史 ゲームソフトの巨人たち


コンピュータゲームが誕生してから半世紀あまり。今や世界での市場規模は10兆円に迫る一大産業の成長をリードしてきたのが日本のゲーム会社だ。ベンチャー企業であった彼らが、どのように生まれどうやってヒットゲームを生みだして来たのか。そして、いかにして苦難を乗り越え世界で知られるグローバル企業になってきたのか。その全容が日経BP社取材班によって解き明かされる。

日経BP社 ゲーム産業取材班 著
価格3024円(税込)

AMAZONで買う