海外向けにゲームを変える意味とは

━━海外マーケットについてはどのような戦略を考えていますか。

森先氏: 海外展開については大事にしていますし、現在も継続して取り組んでいるのですが、正直難しいという印象です。なぜでしょう、日本だけが特殊な感じがしますね。隣の国であっても、遊んでもらうにはその国に合わせてゲーム内容に変更を加えたほうが良いと思ってやってきていますが、ひょっとしたら変えなくていいのかもしれない。変えなくてもうまくいくゲームというのが正しい気がしますし……そうした難しさがあります。

 スマホゲームの市場として日本のマーケットは大きく、何万人にも遊んでもらうことを想定してビジネスプランを設計しています。例えば韓国など、全体的な市場が日本よりも小さい状況で、さらに日本のゲームが好きな方をターゲットとすると、ビジネスとして成り立たせるのは大変です。それでも韓国や台湾では『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や『白猫プロジェクト』を展開し、多くの方にプレーしていただくことができました。やはり現地の文化を学んで、カルチャライズすることが大切だと感じましたね。ただ、現地を理解し、そこに合わせることは確かに大切なのですが、一方で違う考え方も同時に持っています。世界的にヒットしているゲームは、言語を変えているくらいで基本的に中身は同じですよね。これはあくまで個人的な考えなのですが、本質的にはそれが正しいような気がします。もっとも、そうしたゲームをどう作ればいいのかが難しいのですが。

 一方、米国は最も困難な市場といえると思います。人気ゲームのランキングがほぼ固定されていて、新しいゲーム会社の新作ゲームが上位に食い込んだという話は、ほとんどないような気がします。私の中で2016年に印象に残ったゲームといえばSupercellの『クラッシュ・ロワイヤル』くらいでしょうか。米国のスマホゲーム会社はものすごくお金をかけてプロモーションしますから、それについていくだけでも相当な体力を要します。

━━最初から海外を視野に入れたゲーム開発というのはいかがでしょうか。

森先氏: それも考えていて、2015年4月にリリースした『ランブル・シティ』は、街作りをコンセプトにしているのですが、他のプレーヤーとのバトル要素を加え、街作りで“勝負”するというゲームです。この辺りは海外展開を意識して設計したポイントといえます。日本では非常に熱心なファンを獲得していて、今でも継続して遊んでいただいていますが、全体のユーザー数は、日本でシミュレーションゲームをやる人はこんなに少ないんだ、と感じる程度にとどまっています。

 海外版のリリース時は、現地の方の趣味嗜好を意識し、日本版にはない機能として、他のユーザーの街に攻め込めるようにしました。もともと、自分自身の街作りと、どこにも属さない街に4人集まって街づくりの腕を競い合うというサイクルを回していくゲームに、「他人の街に攻め込む」という機能を盛り込んだということです。ただ、海外で受け入れられたかというと厳しい状況です。シミュレーションゲームは本来、世界中の誰がやっても遊び方は同じなので、あえて変更を加えずに出しても面白かったのではないかという思いもあります。

 いくつか海外向けに展開して感じたのは、多くの国には日本のモノが好きという層が一定数います。日本版で人気だったゲームを、そういった層に向けて出した方が成功する確度が高いのではないかということです。もちろん、それぞれの市場自体は小さいものですけど。

 海外向けのゲームは、現地の人が作った方がいいと思いますが、海外にオフィスを抱えてやっていくのも大変です。それに人気ゲームの固定化が進んでいる今、米国人が作っても米国でヒットを飛ばせない状況ですから、正直、答えを出すのは難しいです。

『ランブル・シティ』 (C)2015-2017 COLOPL, Inc.
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