女性向け恋愛シミュレーションゲームで存在感を示しているボルテージ。東京ゲームショウ2014では、ゲームの世界観を表現したブースに、イケメンモデルによる「壁ドン」がリアルに体験できるコーナーを設け、話題を呼んだ。それ以降も、毎年、趣向を凝らした企画で、女性からひときわ熱い視線を集めるブースとして、東京ゲームショウの“名所”にもなっている。
ボルテージは、自社では「恋愛ドラマアプリ」と呼ぶ女性向け恋愛シミュレーションゲームを、ほぼ専業で手がけてきた。「恋愛ドラマアプリ」とはその名の通り、女性プレーヤーが自ら主人公になる恋愛ストーリーをスマートフォンなどのモバイル端末で楽しむもの。物語の中で二次元のイケメンとの会話やかけひきを楽しみながら、お気に入りの登場人物との恋愛成就というハッピーエンドを目指す。「恋愛ドラマアプリ」は、昨年12月で、誕生から10周年を迎えた。
同社を引っ張るのは、津谷祐司会長兼社長と、妻でもある東奈々子副会長。津谷氏が、ボルテージを立ち上げたのが1999年。2010年にマザーズへ上場し、翌年には東証一部へ市場を変更。年間売上高は約100億円に達している。2012年にはサンフランシスコにも拠点を作り、日本の経営は若い世代に任せ、二人で現地採用のスタッフと恋愛シミュレーションゲームの米国普及に努めてきた。たが、昨年、日本に拠点を戻し、津谷氏が社長に復帰。その背景と今後のロードマップを聞いた。
(文/吉岡広統 写真/辺見真也)
津谷祐司(つたに・ゆうじ): ボルテージ代表取締役会長兼社長、ファウンダー。1963年福井県生まれ。東京大学工学部を卒業後、博報堂に入社。1993年、UCLA映画学部大学院の監督コースに留学。1999年にボルテージを設立。著書に『コンテンツビジネスのすべてはUCLA映画学部で学んだ。』(幻冬舎)などがある。
東奈々子(ひがし・ななこ): ボルテージ取締役副会長、ファウンダー。1969年生まれ。津田塾大学卒業後、博報堂に入社。1999年、津谷氏の起業に伴いボルテージへ参画。副社長を経て、13年から現職。
オトナ女子向けはいまや競争が激しい市場
━━2016年はボルテージにとってどんな1年でしたか?
津谷祐司氏(以下、津谷氏): 2016年はどちらかというと停滞していた1年でした。創業から毎年、前年比30%ぐらいでずっと伸びてきましたが、2010年に上場し、その後、伸び率が徐々に落ちてきて、2016年は厳しくなった年でした。
昨年、僕が社長に復帰して、今、組織改革を行っていますが、成果が出るにはあと半年、1年はかかると思っています。そういう意味で、2016年から2017年の前半は、後から振り返れば谷間の年に見えるのではないかと思っています。
━━決算説明会の資料によると、既存のビジネスが逓減するのは折り込み済みではあったが、新規事業が思った通りには伸びなかったとあります。
津谷氏: そうですね。簡単にロケットスタートとはいかなかったですね。
数年前まではオトナ女子向けモバイルコンテンツのトップランナーだったと自負していますが、売り上げが100億円になると、それが世の中の認識としてだんだん浸透していって、大手のゲーム会社をはじめ、ベンチャーなども「オトナ女子市場」に入ってきたんですよね。それによってオトナ女子市場は、アプリで1000億円市場、それ以外を含めると3000億円ぐらいの市場になったと思いますが、同時に競争も激しくなった。そのなかで、ボルテージは、昔からのやり方を変えないといけなかったのに、変えないまま来てしまった。逆に言えば、今が変えるべき、ちょうどいいタイミングとも思っています。
━━アプリ以外のオトナ女子市場とは?
津谷氏: アニメや電子コミック、2.5次元といわれているジャンル。あと、これからはバーチャルリアリティー(VR、仮想現実)やAR(拡張現実)も出てくると思います。その辺を含めるともっと大きくなると思います。
東奈々子氏(以下、東氏): 津谷が(2016年の業績は)割と厳しかったという話をしましたが、コンテンツでは、『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』という恋愛だけではない新しいタイプのものが非常に受けました。他社さんにはなかなかない、カジュアルな女性ユーザー向けで、テレビCM含めて感触がよく、累計300万ダウンロードを超えるビッグタイトルになっています。
あと『椅子ドンVR』というVRタイトルを出して、東京ゲームショウ2016でも大変話題になりました。ちょっとずつですが、次に向けて踏み出していっているところです。
日本風のコンテンツは米国では受けない
━━昨年まで数年間、サンフランシスコに拠点を移して米国マーケットを開拓していたわけですが、ある程度の道筋はできましたか?
津谷氏: サンフランシスコのスタジオは30人程度の組織ですが、制作部門、クリエーティブ部門、エンジニア部門、アート部門があって、最低限の機能はそろいました。あと商品群も、試行錯誤を4巡ぐらい繰り返して、ようやく当たり筋が見えてきたところです。2012年に設立してからもう5年目ですけど、3月にローンチしたものが当たるかどうかという勝負の段階です。良ければ黒字になってくるし、ダメなら米国から撤退するかという最終段階に来ていると思っています。
━━以前、米国は多様性があるので、日本と同じような物語は難しいというお話をうかがいました。
東氏: そうですね。LGBT含めた多様な恋愛コンテンツを今でも作っていますが、この3年で、大きく2つのことを感じています。他社のビッグタイトルも米国では苦戦されていますが、1つは、米国人はガチャとかでチマチマやるのがあまり好きじゃない、性に合わないということ。だから、われわれのような、ストーリーゲームは、割と受け入れられるんです。2つめは、好まれる絵のテイストはアニメなんですが、やっぱり日本人のものではないということ。3月1日にローンチした『Love & Legends』(ラブ アンド レジェンズ)は、日本人のものには見えないように作ってます。
津谷氏: 『Love & Legends』は、普通に見たら少年向けのような感じがするんですが、米国の10代、20代の女性層は好んでくれるんです。表現的には、日本のアニメのテイストはありつつ、日本っぽくなり過ぎてなくて、ある程度アメリカナイズされています。
東氏: 最初のころは米国内のコンテンツと同じタイプのもので勝負しようと考えていました。だけどそこでは結局勝てないので、次はすごく日本に寄せたんです。すると今度はパイが小さいということに気づきました。今はハイブリッドで、われわれなりのテイストで米国人に受け入れられるものができてきました。
津谷氏: ガチガチの日本テイストと米国テイストの間を行ったり来たりして、結局その中間的な、ハイブリッドなところに行き着いたんです。この辺はテイストの問題なので言葉で説明しにくいのですが。
━━米国のユーザーの中心はやはり日本好きの方々なんですか?
津谷氏: 日本好きな人もいますけど、普通のカジュアル層にまで広がりつつあると思います。
東氏: もう日本という切り口は、最新のコンテンツでは捨てていますね。
創業者であるわれわれが前のシステムを壊す
━━米国での展開については、ある程度勝負できるところまでお膳立てができたので、日本に戻ってこられたということですね。
津谷氏: 今度は日本。(経営は)若い人に任せたつもりだったので、本当は、個人的に映画制作をもう少し真剣にやろうかなと思って帰ってきたんです。会社にしばらく来るようになったら、2カ月ぐらいでちょっとまずい状況だなということに気がついて。それで社長に復帰することを決めました。
━━まずい状況とは?
津谷氏: 簡単に言うと、僕らが日本を離れた4~5年前と同じようなことを今も続けていたということ。『ダウト』のような新しいものが生まれているし、キャラクターアプリというパズルゲームみたいなものも生み出してはいるんですけど、全体としてはやっぱり変わってないところがあって。市場の競争が激しくなって、周りの環境が変化しているのに、対応していないというか、ついていっていないなと思ったんです。
━━周りの環境変化というと?
津谷氏: さっき申し上げたような、オトナ女子を狙ったゲームが、アプリで結構出てきました。イケメンと恋愛するパターンだけではない女子向けのコンテンツというのがいろいろ開発できるんだということを僕も見て、ああ、そうなんだと思った。それだけマーケットが大きくなってきたんです。ボルテージは恋愛ストーリーに特化してきて、昔はそれで(ユーザーの)8割程度は獲得できていましたが、今は多種多様なものが出てきて、プレーヤーもいっぱい出てきて、という状況になっていたんです。
そういうことに気がつき、成長率自体が数字として落ちているのも見えてきているので、今の路線のまま突っ走っていくのはまずいなと。「物語」ではまだナンバーワンという自負を持っていますので、うまく方向転換するなり、いくつか複数の方向を狙うなりすれば、まだまだ成長はできます。
ではそれを誰ができるのかというと、創業者であるわれわれが自分たちで前のシステムをぶっ壊すところからやらないとできないだろうなと。ぶっ壊して新しくつくっていくという作業をやろうと決意したのが5月ぐらい。それでA4で3枚ぐらいの作文を夜中に書いて、こういうことでもう1回僕が社長に復帰しますという宣言文を社内に配ったんですね。役員会で承認されて、去年の7月から社長に戻ることになりました。
普通の女性のオタク化によって増えたコア層を狙う
━━今回の改革のポイントは?
津谷氏: 主に2つです。今までは、普段ゲームをやらないようなカジュアル層の女性を狙っていたんですが、もう少しコアな層にも向けていくというのが1つ。コア層が増えて、マーケットが大きくなってきているのに加え、普通の女性がオタク化して、コアになってきているからです。
東氏: カジュアルとコアのどちらかではなく、両方の要素を持った女性が非常に増えていると感じます。
津谷氏: 『君の名は。』という映画がすごくヒットしましたが、昔ならば、新海誠監督を好きなコア層しか見なかった。今は、女性も仕事をしているし、晩婚化で40代の独身女性も増えてきている。パートナーはいるかもしれないけど、お金を持っていて、子どもがいないとエネルギーが余っちゃうんですよね。それが自分の興味あるところにバーっと集中して、趣味性が強くなっていく。そうするとコアなものになるじゃないですか。男だって同じですが、オトナ女子にそういう人がすごく増えてきた。僕はそういう風に思っています。
━━今までカジュアル層をメーンターゲットと考えていたものが、コア層にも広げると何が変わるんでしょうか。
東氏: ストーリーで言うと、ドラマをよりファンタジーにします。リアルな日常生活が舞台のものもやりつつ、今までやらなかったようなファンタジーまで思いっきり飛ばすということですね。
津谷氏: もう1つは開発スタイルです。これまでいろいろなタイトルをシリーズ的にずっと作ってきたんですが、シリーズ化のよさを残しつつも、1個1個ゼロから立ち上げていくような形を半分入れる。シリーズ的な要素は半分にして、ゲーム構造そのものが全く新しいものを出していくとか。イケメンが出てきて、その人とテキスト文字で対話しながら選択していくというパターンのみでずっとやってきましたが、それ以外のフォーマットもやっていこう、もしくはアプリ以外もやってみようということです。例えばVR。今まではそういうものを作ったことがありませんが、そういう風を会社の中に吹かせたいなと思っています。
東氏: ゲームだけじゃないところで、ユーザーさんにいろいろ楽しんでいただくようなコラボレーションを外の方とも一緒にやっていきます。
津谷氏: 上場以来5年間、同じようなタイプのタイトルばかりになっちゃったので、『ダウト』みたいな新しいものが出るような動きをもっと加速させようということですね。表面的に違うというよりも、本質的なところも掘り下げて変えていく。本質的な作り方のプロセスとか体制そのものも変えていくというようなことにチャレンジしています。
東氏: 具体的には、今まで全社1つのやり方でやっていたのを、7種類のやり方で、7種類のタイプを作っていく。
津谷氏: 『キングダム』というマンガがありますが、主人公の少年剣士は、10万人を率いる大将軍になりたくて、まず5人組のトップから始めます。結果を出して、次は10人組の将になって、その次は50人、100人の将になるみたいなステップを踏んでいくんです。僕が会社を始めたころを思い出しても、やっぱり100人ぐらいだったら1人のリーダーで取り仕切れるんだけど、今、500人を1つのタイプでやっていて、そこにリーダー1人だとすごく重荷だなと。1対500で、500人を動かすとなると、なかなか動いてくれないし、細かいところはもちろん分からない。なので、まず50~100人ぐらいの単位に組織を分けて、それをリーダー1人ずつに持ってもらう。組織を小さくして動きやすくしたということですね。
━━これまで、コンテンツ制作のノウハウをマニュアル化するという社内教育をやってこられました。「守破離」という言葉がありますが、まずはマニュアル化で型を「守る」ことをやってきて、いよいよ型を「破る」段階に来たということでしょうか?
東氏: おっしゃる通りです。
津谷氏: 基礎的なものは身についているので、それを1回破る。組織は数年単位で固定化して、今度は広げて、また固定化するフェーズに入りますよね。5年から10年のサイクルで回っていくんだとは思うんです。
東氏: 米国でゼロから組織を作ったのもしんどかったですけど、500人を変えるのは、もっと大変ですね。ある意味成功体験を持っていますので、それを1回ひっぺがして再構築するというのはなかなか大変です。それでもだいぶやって、形が見えてきました。
IPを軸に、アプリ以外の事業も拡大する
━━先ほど話に出た他社とのコラボレーションやVR、いわゆるリアルから2.5次元みたいなところも含めて、将来的にどれくらいの規模に育っていくことを期待していますか?
津谷氏: 会社の全事業の中では、アプリが半分、そのほか――アニメでも舞台でも音楽でもグッズでもいいんですが――が半分ぐらいになるんじゃないでしょうか。最近、アプリだけに閉じていても広がっていかないと痛感しています。もともと携帯コンテンツからスタートしているので、アプリで完結すると考えていたんです。でも、20~30代のオトナ女子とか、今後男性も狙うとなったとき、その人たちの楽しみ方自体が結構変わっているじゃないですか。テレビだってリアルタイムで見るよりも録画して見たり、「Amazonプライム」で映画などを見たり、雑誌を買ってくるんじゃなくて電子コミックで配信されるものを読んだりと、この2年ぐらいで劇的に変わっています。そういうことを考えると、アプリだけでなくもっと広くやっていくことになる。
もう1つ、音楽が一番分かりやすい例ですが、デジタル化されて配信で聴くようになると、夏フェスとかライブにみんな行くんですよね。人と人が屋外で集まるイベントがすごく人気になっています。デジタル化でお茶の間がなくなって、音楽などがパーソナルな楽しみになると同時に、今度は、大人数で一緒に集まりたいという欲求が出てくる。まあ、人間としては自然の摂理だと思います。舞台とか声優イベントみたいな分かりやすいものもあるし、僕らもデジタルだけに閉じているんじゃなくて、2方向同時に回すようなことになるんじゃないかなと思います。
━━1つの世界観をつくって、そのIP(ゲームのタイトルやキャラクターなどの知的財産)を軸に、デジタルとリアルで展開していくことになるということですね。
津谷氏: そうなっていくと思います。
━━現在、御社の代表的なIPと言えば何ですか。
津谷氏: ニュータイプが今後いろいろ出てくるんですが、今の中核は『天下統一恋の乱』や『ダウト』です。
東氏: あと、去年の秋に出した『あの夜からキミに恋してた』は完全にカジュアル層をターゲットにしたトレンディードラマのような作りですが、これもしっかりユーザーさんに支えられて、まだまだいけるんだと思っています。
━━これらをIPとしてマルチに展開していくために、登場人物のキャラクターをより際立たせたりするんでしょうか?
津谷氏: 『天下統一恋の乱』や『ダウト』をIP展開するというやり方もあるし、年に4~5本の新しいタイトルを出していくなかで、それをIP展開しやすいように作っていくというやり方もあるかなと。ただ、カジュアル層向けはIP展開しにくいですね。
東氏: ドラマの登場人物は恋愛対象なので、個性があるキャラクターが立ってしまうと、恋愛対象とは離れてしまう。ただ、今まではそう思っていたんですけど、キャラクターを立たせた新しい女性向けドラマにも挑戦していて、いい落としどころを探っているところです。
VRやAIの技術に特化した子会社を設立
━━ビジネスモデルとして、参考になる企業はありますか?
津谷氏: IP展開を考えたらアニメ業界が一番参考になるんだと思いますが、あまり考えたことがありません。僕らは携帯から出てきましたが、現在の競合は家庭用ゲームから出てきた人たちです。昔は携帯といえばちゃちなウェブしか見られなかったのが、重厚長大なものも楽しめるようになってきた。一方で、家庭用ゲームの企業もこちら側に寄ってきました。
家庭用ゲーム会社の作り方は“重い”じゃないですか。僕らは、もともとは“軽く”作っていたのが、かなり重くなってきました。昔は1タイトルあたり、年間1億円ぐらいだったんですが、気がつけば、10億円~20億円はかかっている。“重く作る”ことを学ばないといけないという意味では、家庭用ゲーム会社とか、アニメ会社とかは参考になるかもしれません。アニメ会社もいっぺんに13話どんと作る。途中でやめられないですからね。ウェブっていくらでも変更できるし、やめられる。そういう文化だったのが、「でかく作る」という感覚を学んでいるところです。
東氏: 今までは恋愛ドラマコンテンツをシリーズで作っていって、収益を上げていくというモデルでした。それはそれで今まで通り、もっと進化したやり方をしていきますけれども、津谷が“重厚”と言っているような、1つをしっかり作っていろいろなビジネスに展開していくタイトル、アニメや舞台、グッズなどいろいろな形に展開できるタイトルにもチャレンジしていきます。
━━新しく「ボルテージVR」という会社がスタートしましたが、期待感はいかほどですか?
津谷氏: 大いに期待しています。VRやAIのいい技術者が社内に何人かいて、面白いものをやってくれるので、その技術力を生かしてヒットコンテンツに結び付けてもらいたいなと思い、会社をつくりました。VRもAIも1つずつ作ってみたところ、売り上げ規模はすごく大きいわけじゃないのに、市場のレスポンスは感じるんです。
東氏: 特に海外が。
津谷氏: 英語のほうがダウンロード数が多いんですよ。日本ではVRコンテンツというとダウンロードよりも、ゲームセンターやテーマパークなどで遊んでもらうものが多くて、そちらから結構引き合いが来ています。米国は国が大きいのでゲームセンターにあまり行かない。むしろダウンロードで楽しもうと考えるようで、そっちが今のところ多いです。
━━2017年はどんな1年になっていきそうですか?
津谷氏: 数字として結果を出していきたいなと思っています。
東氏: この下期(~2017年6月)は、さっき言った『Love & Legends』(ラブ アンド レジェンズ)のほかにも、新しいタイプのコンテンツを数本、予定しています。まずは昨年立ち上げた子会社、ボルモから『ワタシドラマ』というアプリを出しました。近日中に『ダウト』形式の第2弾も出します。
津谷氏: 『ワタシドラマ』はキャラクターが動くモーションタイプ。男女のキャラクターが出てきて、画面上でしゃべったりするんですよ。しゃべるといってもテキスト吹き出しですけど。動く漫画みたいな。
東氏: このアプリは女性を主人公に、恋愛や結婚、仕事や趣味など幅広いジャンルをコメディータッチで描いていて、1つのアプリでさまざまなストーリーが読めるスタイルになっています。今は、29歳独身OLが婚活テクニックを駆使して結婚を目指す『婚活ガール』と、普段は地味なOLが理想の男性に近づくため、SNS上でキラキラ女子に変身する『#キラキラ女子大作戦』の2つのストーリーがあります。今後も、恋に仕事に悩む女性が共感するような等身大のストーリーをどんどん出していきます。
津谷氏: ほかに“ボルテージ ドリーム”という新ブランドを立ち上げ、当社初のコア層向けチームドラマアプリも出します。テーマは「アニマルアイドル」。
東氏: 今、(猫耳などの)ケモ耳が人気じゃないですか。ああいうのと融合したようなキャラクターがアイドルとして活躍します。いわゆる恋愛要素はありません。
津谷氏: あとは電子コミックサイトと似たような形で楽しめるものもつくります。
東氏: カジュアル層をターゲットとすると、コミックサイトも競合します。コミックサイトが好きな女性は多いので、コミックサイトで1つのマンガを読んだら次のマンガを読んでというのと同じように、恋愛ドラマアプリがあれこれ楽しめるものを準備中です。
津谷氏: 今はタイトルを1つ1つ買っていただく形ですけど、いろいろなタイトルが1つのアプリに集約されている感じ。その中のタイトルを増やしていくという形です。
この半年間、業績が停滞するなかで、社員の不満や要望を聞くような会もやっていました。みんなを巻き込んで解決策を考えてきて、社員のマインドが新しいことをやろうというようにかなり変わってきたんじゃないかなと思います。実際新しいアイデアがいっぱい出てきた。失敗もあると思いますが、それが数字に結びついて、再生していきたいなと思っています。