市場に浸透していない新たなゲームを届けたい

――2017年はどんなアプローチを考えていますか?

鄭氏: 去年はどのジャンルにも偏らず、いろいろなゲームが人気を集めていました。この路線を踏襲し、今年も多様化を続けていきたいと考えています。ただ、既存のものをまねするのではなく、新しいことにチャレンジしていきたい。昨年はエントリー層、ミドルコア層向けのゲームが半々でしたが、今年はエントリー層を大事にしつつ、ミドルコア向けの新しいゲームにチャレンジして、客層を広げていきたいと考えています。

 ただ、LINE GAMEにとっての新しさとは、まだ市場に浸透していないものをちゃんと届くようにするということでもあります。例えばFPS(主人公視点のアクションゲーム)というジャンルは日本ではヒットしないと言われていますが、幅広く考えればリアル対戦するゲーム、遊びだと考えられます。特定のジャンルで語るのではなく、いろんな種類の遊びを提供する、チャレンジしていくのがLINE GAMEの役割だと考えています。

 既存のゲームタイトルやキャラクターなどのIP(知的財産)を起用するにしても、最近は既存タイトルの衣替えをするようにIP要素を加えても成功しません。新しいゲーム性を足さないと、ユーザーにも愛されないんです。これはキャラクターなどを使っていないゲームでも同じですね。既存のゲームの改良ではなく、新しいものを提供したいと考えています。

――具体的にはどんなゲームでしょう?

鄭氏: 現時点でタイトル名を言えるのは、イマジニアの子会社であるSoWhatというスマホゲーム会社と共同開発した『LINE アキンド星のリトル・ペソ』というゲームでしょうか。現在事前登録中(2017年2月現在)で、癒やし系のかわいいキャラクターを使った、女性向けのゲームです。

 『LINE アキンド星のリトル・ペソ』は画面をタップすることでキャラクターを育成する「タップゲーム」というジャンル。タップゲームは欧米やアジア圏では一定の需要がありますが、日本ではまだ浸透していません。日本にはそもそもタップゲームというジャンルがあることを知らない人も多いでしょうし、これこそLINE GAMEが挑戦していく分野だと感じます。

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 それ以外にも、『LINE ぷるぽん』というゲームを2月にリリースしました。『LINE ぷるぽん』はオリジナルIPを使った若者向けのパズルゲームで、2015年から準備していたもの。ゼロベースで作ったゲームです。これも新しい取り組みなので反響が楽しみです。

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いやし系のかわいいキャラクターを使った『LINE アキンド星のリトル・ペソ』。画面をタップすることでキャラクターを育成するタップゲームだ。(c)SoWhat, Inc. (c)LINE Corporation

――昨年はスマホでVRが楽しめるようになりましたが、VRを使ったゲームのリリースは考えていますか?

鄭氏: 現在はまだ様子を見ている段階で、もっと一般的に浸透してから開発を検討したいと考えています。特定のユーザーを対象にするのではなく、なるべく大勢の人に遊んでもらいたいと考えているので。

 「LINE」はゲームをやらない人、エントリー層、ミドルコア層、ハードコア(上級者)層とすべてがいるプラットホーム。その特性を生かし、ユーザーが望んでいるものを提供するのがLINE GAMEの役割だと思います。

 LINEでは「今年は○本のゲームを投入する」というように本数で目標は決めていないんです。大事なのはユーザーのニーズを考え、それをきちんと提供すること。新しい市場を作ったり、ユーザーに新しい体験を提供したりすることが一番大切なので、一つひとつのクオリティーを上げることが重要だと考えています。

 私たちが考えるクオリティーとは、グラフィックのきれいさ、派手さではなく、ユーザーに面白さがちゃんと伝わることです。LINEで作る以上、「分かりやすさ」は必ず守らなくてはいけない要素だと思っています。ゲームの入口を増やすのが私たちの役割ですから。

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日本ゲーム産業史
ゲームソフトの巨人たち
日本ゲーム産業史 ゲームソフトの巨人たち


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