氷点下の温度帯の日本酒やカクテルを自宅で気軽に楽しむ――。そんな新しいお酒の体験をシャープの社内ベンチャー「テキオンラボ」が、クラウドファンディングの「Makuake」で仕掛け、注目を集めている。活用したのは、自社の基礎研究によって生み出した、マイナス24℃からプラス28℃の間で特定の温度にキープできる蓄冷材。日本酒やカクテルのボトルを入れる保冷バッグに仕込み、注いだときにマイナス2℃になるように設定することで、氷点下の飲みごろを実現している。テキオンラボ代表の西橋雅子氏に開発の背景や商品の特徴を聞いた。

これまで3つのプロジェクトをMakuakeで展開。2017年3月の「冬単衣」に続いて立ち上げたのが「茶饗-SAKYO-(煎茶ジン)」
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第3弾「白那―HAKUNA―(スパークリング日本酒)」
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氷点下という新しい“飲みごろ”を発見

――Makuakeで立ち上げた氷点下で飲むお酒の支援プロジェクトが話題になっていますね。プロジェクトの内容を教えてください。

テキオンラボ代表の西橋雅子氏(以下、西橋): 最近展開したプロジェクトは2つで、1つが煎茶ジンの「茶饗(さきょう)」(2017年12月27日まで)、もう1つがスパークリング日本酒の「白那(はくな)」(2018年1月30日まで)です。前者は静岡県の茶農園「カネジュウ農園」などとコラボレーションした企画で、支援者には主にこだわりの茶葉と最上級ジンの「スター・オブ・ボンベイ」、ハリオ製オリジナルボトルをセットで提供。後者は埼玉県にある老舗蔵元の滝澤酒造が醸した濁りスパークリング日本酒を支援のリターンとして提供するコラボ企画です。

 いずれもシャープが開発した、グラスに注いだときにマイナス2℃になる温度を1時間30分~2時間程度キープできる筒状の保冷バッグが付いています。使い方は、茶饗ではセットの材料で簡単に作れる煎茶ジンのカクテルを入れたハリオ製ボトルを、白那ではスパークリング日本酒のボトルを、凍らせた保冷バッグに直接入れて約30分待つだけ。氷点下のお酒が出来上がり、自宅で手軽に楽しむことができるわけです。テーブルに出したまま、しばらくの間氷点下の状態で注げるので、ホームパーティーなどでとても重宝します。

(左)蓄冷材を保冷バッグから抜き出し、冷凍庫で約6時間冷やす(右)冷やした蓄冷材を保冷バッグにセットし、ボトルを中に巻きつけるように入れて約30分で、氷点下まで冷やせる
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――氷点下で飲むお酒とはまさに未知の体験の提案ですね。氷点下にするとどんなメリットがありますか?

西橋: 茶饗の場合、氷点下を保つことにより、茶葉の旨み成分であるテアニンが抽出され続ける一方で、渋みの成分であるカテキン、苦みの成分であるカフェインは抽出が抑えられます。また、氷点下をキープすることで、酸化を抑えることができます。こうして時間を追うごとに味わいが豊かになり、それでいてフレッシュな緑色を保ったままの煎茶をボトル内でジンに漬け込むことができ、注ぐだけでバーテンダーが作ったようなおいしい煎茶ジンのカクテルを、自宅で手軽に味わえるのです。

 また、スパークリング日本酒の白那は、氷点下を保持するとガス圧が安定する利点があり、通常より炭酸を強くできるため、飲んだときのキレが非常に良くなります。さらに氷点下まで冷やしたお酒を口の中で転がすと、体温によって徐々に温度が上がり、味わいの変化が楽しめます。今日は、それぞれ実物を用意したので、飲んでみてください。

――(トニックウォーターで割った煎茶ジンと、白那をそれぞれ記者が飲んでみた。すると…)茶饗は、お茶の香りがフワッと鼻を抜け、苦みや渋みをあまり感じない代わりに旨味が前面に出て、とても飲みやすいですね。かたや、白那は口に含んだ瞬間は強めの炭酸でキリッとしますが、舌の上で少しの間転がしていると、徐々に甘みが広がり、飲み込んだ後もその余韻が口の中に残ります。どちらも今まで味わったことがない感覚です。

西橋: そうやって、今までのお酒との違いが、誰が飲んでも感じられるほど明らかなことも、この氷点下で飲む茶饗や白那の魅力です。実は、この保冷バッグを使った氷点下のお酒の提案は、2017年3月にMakuakeでプロジェクトを立ち上げた「冬単衣」という日本酒が最初で、このときは約1870万円の支援金を集め、大成功でした。その人気を背景に立ち上げた第2弾の商品が茶饗、第3弾の商品が白那です。今回も反響が大きく、特に白那は約580万に到達し(12月14日現在)、好調に推移しています。

煎茶ジンは、氷点下の保冷バッグに入れておけば酸化が抑えられるため、時間がたってもフレッシュな緑色を保つ。旨みも多く出て、よりおいしく飲める
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第3弾は老舗の滝澤酒造が醸したスパークリング日本酒「白那」と保冷バッグのセット。炭酸を強めにできるためキレが良く、口に含むとふわっと香る。濁り酒と保冷バッグで紅白の色合いになり、ハレの日にぴったり
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