この記事は雑誌『日経おとなのOFF』2012年9月号に掲載した記事に一部手を加えたものです。内容は基本的に雑誌掲載当時のものです。

 奥能登の漁村や農村の集落を巡れば、昔ながらの手仕事や習わしが今なお現役であることを改めて感じる。昨年そうした風土が評価され、能登が日本で初めて世界農業遺産に認定された。

 農業・漁業をはじめ、祭りや工芸品などと並んで、江戸期から続く酒造りの技も遺産の評価対象となった。奥能登は、能登の酒造りの技術集団である能登杜氏の発祥の地。輪島の老舗蔵、中島酒造店もその流れをくむ。早速「一杯どうぞ」と勧められるまま、利き酒の酒杯を口に運ぶ。すると、米の旨みが広がった後に、なんとも清々しい吟醸香が鼻を抜けていく。“吟醸酒造りは能登流が一番”という言葉に得心が行った。

中心銘柄「末廣」をはじめ、多彩な酒を造る
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社長自慢の酒「百石酒屋のおやじの手造り」は県内外からの評判も上々
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中島酒造店
重厚な木造建築が歴史を感じさせ、地元の人々から愛されている老舗蔵。近年は能登杜氏の酒造りを継承する蔵元が醸す酒として評判を呼び、県外からも注文が増えている。
【Data】石川県輪島市鳳至町稲荷町8 TEL:0768・22・0018 開業時間:9~18時 定休日:無休 ※蔵の見学希望者は要事前連絡

 聞けば、この「おやじの手造り 純米吟醸」という酒、突然やむを得ない事情で杜氏を引き継いだ蔵元の中島さんが奮闘し、初めて仕込んだもの。その後、蔵を代表する銘柄にまで成長した自信作だ。「昔から『能登のとと楽』といわれ、能登では女性がよく働き、男性が楽をするというけれど、男もやるときはやる。どっちもよく手を動かすのが能登なんですよ」と中島さんは相好を崩した。

大浜大豆の商品は市内随一の品ぞろえ
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おぼろ豆腐
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珠洲地方の特産品がずらり。豆腐作りが体験できる施設も併設されている
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道の駅狼煙(のろし)
能登半島最北端の程近くにある道の駅。珠洲の特産品として成長している大浜大豆とにがりを用いた豆腐をはじめ、きなこやせんべいなど大豆を使った商品を多数扱う。珠洲産の塩などもそろい、珠洲みやげを探しに立ち寄りたい店。
【Data】石川県珠洲市狼煙町テ1-1 TEL:0768・86・2525 営業時間:8時30分~17時 定休日:年末年始(12月31日~1月4日)