この記事は雑誌『日経おとなのOFF』2014年2月号に掲載した記事に一部手を加えたものです。内容は基本的に雑誌掲載当時のものです。

 よさこい祭りは61年前、高知商工会議所が中心となって戦後の市民を元気づけようと始まった。曲もアレンジも振り付けも自由奔放な、いかにも高知らしい踊りで、夏のよさこい祭りには全国からファンが押し寄せる。

 そのよさこい祭りにも匹敵する高知らしい祭りに育てたいと、8年前に始まったのが「土佐のおきゃく」だ。“おきゃく”とは土佐弁で宴会のこと。冠婚葬祭など事あるごとに大勢で集まり、親族だけでなく、時には通りがかった人まで酒を酌み交わすのがおきゃく。この文化を町おこしのイベントに仕立てたのだ。期間中はアーケード街など町のあちらこちらにテーブルや畳の席が設けられ、隣り合って座れば「よう来たねえ」と遠来の友のように遇される。路面電車までも走る宴会場になる。

昨年の日本一の大おきゃく。高知ならではの食や酒を楽しみ、会場一体となってお座敷遊びに興じた
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丸三 代表取締役会長の岡内啓明さん。土佐のおきゃくの発起人。「受け継がれてきた高知人気質や文化、今ある食材やインフラを生かした、高知らしい祭り」と胸を張る
おきゃく電車
創業110年と日本一古く、日本一の運行距離を誇る土佐電鉄の路面電車に「おきゃく電車」が登場。会社の宴会や誕生日会、披露宴の二次会などに利用されている。おきゃくイベント期間外も走る。
【Data】高知市桟橋通4-12-7 TEL:088・833・7122 営業時間:8時30分~17時30分 定休日:土日曜、祝日
1人4000円でビール飲み放題(料理付き、18名以上)という手頃さに加え、路面電車ならではの車窓の景色が人気
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 高知には、イワシの稚魚・ドロメの刺し身や、秋に採れる筍・四方竹など、鮮度や収穫量の問題で、ほかの地域に出回らない旨いものも多い。この土地にしかない食材や、都会では薄れてしまった人との距離感が楽しめると、土佐のおきゃくは、年々人気が高まっている。「人を喜んで迎え入れ、楽しんでもらうことを何よりとする。土佐のおきゃく文化の価値を、このイベントを通して地元の人に再認識してもらえたことにも意味があります」と発起人の一人、岡内啓明さんは熱く語る。