専門家が「2016年のデジタル製品トレンド」を予測する、日経トレンディネットの1月特集。プロカメラマンの吉村 永氏は「2016年のカメラ」をどう予測するのか?

吉村 永氏の予測は……
【1】デジカメの価格は2極化していく
【2】「一眼レフ」が頂点を極める年に
【3】多くのカメラに「4K動画」が標準搭載

【予測1】デジカメの価格は2極化していく

プロカメラマンの吉村 永氏

 「デジタルカメラ」という製品そのものはそれほど世の中の関心を集めなくなってきてしまったように感じられるが、人々が写真を撮る頻度、その枚数は飛躍的に上がっていくばかりの昨今。デジタルカメラの今年はどうなっていくのだろうか?

 筆者がまず考えるのは、デジカメの2極化が激しくなっていくということ。これまでの2極化といえば、スマホカメラかデジカメか、というところだったのだが、これからはレンズ交換式カメラの中での二極化が激しくなると予想される。

 というのも、一般的な認知では、ミラーレス及び一眼レフといった「レンズ交換式カメラ」イコール「高画質なカメラ」と捉えられている風潮があるから。スマホカメラで日常を撮影し、それをInstagramやTwitterなどのSNSで、リアルタイムに仲間と共有する。こういった楽しみを覚えた人たちが狙うのが、とにかく高画質だと思えるカメラであるからだ。

 ミラーレスの入門モデルの低価格化は既に数年前から顕著になっており、特にAV家電メーカー系の入門モデルはレンズ付きでも5万円を切る価格で店頭に並ぶことは珍しくなくなってきている。

 それに対して、ミラーレスや一眼レフのなかでも特に高画質を標榜する「35ミリフルサイズ」センサーを採用したモデルは高価格化が顕著なのだ。

 例えば、2015年の秋に発売されたモデルで見てみると、キヤノンのEOS 5Dsが47万円前後、5DsRが50万円前後。ソニーのα7S IIが40万円前後、α7R IIが44万円前後といったぐあい。高画質モデルは高価格という傾向が既に現れてきているのだ。

 大きな原因としては円安の影響が考えられる。カメラは、ワールドワイドで売られる商品だけに、世界市場を見た価格設定が行われるのが普通。1ドルが80数円だった時代に比べて、120円以上が常識となった現在であるから、日本円でこれまでの同価値のカメラを見ても価格がつりあがっているというわけだ。

 さらに考えられるのは、中国を中心とした「高価格爆買い」傾向。現在、中国の富裕層は、高品質で高価なものを購入する傾向が強まってきている。日本メーカーのカメラも世界のトップブランドとして認知されており、なかでも高価なものに注目が集まっているのだ。日本でもバブル時代には定価2400万円のフェラーリが倍以上の価格で取引されることがあったように、カメラは投機の対象にこそなっていないものの、爆買いの対象になっていることは間違いない。

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ベストセラー機「EOS 5D Mark III」と同等サイズのボディーに、有効5060万画素という高画素のCMOSセンサーを搭載したキヤノンの「EOS 5Ds」