専門家が「2016年のデジタル製品トレンド」を予測する、日経トレンディネットの1月特集。シリコンバレーやアップルの動向に詳しい、米国・カリフォルニア在住のITジャーナリスト松村太郎氏が占う今年の新トレンドは……。

松村太郎氏の予測は……
【1】パソコンからタブレットへと主役交代
【2】個人間でのお金のやり取りが活発化
【3】消費者が「欲しいモノ」の製品化をサポート

 筆者が紹介した 「2015年に感動したデジタル製品」に続き、米国で感じている2016年に注目すべきテクノロジーのトレンドについてご紹介したい。

【予測1】大画面タブレットが主役に躍り出る

 筆者は2001年にスイッチして以来のMacユーザーだ。しかし2015年に感動したのは、正直なところ、アップルの新しいMacではなく、マイクロソフトがリリースしたタブレットとノートパソコンの2 in 1モデルである「Surface Book」だった。日本でも2016年には発売されるとみられている。

 このSurface BookとSurface Pro 4、そしてアップルのiPad Proによって、いわゆる一般的な「パソコン」というカテゴリが大きくしぼんでいくのではないか、と考えている。

 特にWindowsユーザーの場合は、タブレット主体のデバイスでもこれまで通りのアプリケーションが動くため、ノートパソコンからSurface系のデバイスへスムーズに移行するものと考えている。iPad Proについては、既存のMacと同じアプリ、もしくは同じ作業がこなせるアプリ群が整った分野から、移行が可能になるとみられる。

 現状、マイクロソフトのOfficeアプリは、パソコンだけでなく、iPadやSurfaceなどのタッチデバイスでも使えるアプリの筆頭だ。皮肉なことに、WindowsパソコンにしてもMacにしても、このコンセプトを最も後押ししているのは、マイクロソフトということになる。

 Surface Pro 4、Surface Book、iPad Proの3つのデバイスは、いずれも非常にパワフルな性能を持つ。特にiPad Proは、10万円前後で、4Kのビデオをすいすい編集できるだけの高いパフォーマンスを備えている。同じことができるパソコンを買おうとすると、かなり高価になるはずだ。

 個人用であってもビジネス利用であっても、タブレットデバイスの価格は、パフォーマンスを考えればパソコンより割安だ。

 またWindowsにしてもiOSにしても、アプリによってさまざまな用途で活用でき、レジや検査端末といった業務用端末の市場にも使える。使える市場が広がれば、ハードウエアを大量生産できるため製造コストが下がり、価格もより下げられる。

 パソコンの置き換え、業務用端末の置き換えという2つの市場で、タブレットデバイスが一挙に広がることになれば、こうしたタッチデバイスをターゲットにした開発者も充実していく。こうしてこれらのデバイスがスタンダードになった世界が、急速に実現されるのが2016年だと考えている。

 今は過渡期のようにも感じるが、それは特にiPad Proについて、MacやWindowsで実現していた作業を移行できるアプリが充実していない点が原因だ。そのためには開発者へのさらなるサポートが必要。またパソコンでの業務を移行できるようなアプリの開発が顕著になっていくことも予測される。

iPad Pro。アプリがそろいワークフローが再現できれば、パワフルかつシンプルなマシンとして、パソコンなしで仕事の大部分をこなすことができるようになるはずだ
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