この連載は、女心のわからないモリシロウ(某電気機器メーカーエンジニア)が、若い女の子たちから絶大な支持を受けるプリントシール機の企画に携わる稲垣涼子(フリューGIRLS'TREND 研究所所長)と、シンデレラテクノロジーを研究する久保友香(東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員)の元を訪ね、女の子たちの「盛る」という行動を糸口に、デジタル時代の女の子たちの価値尺度を学んでいく連載です。
登場人物の詳しいプロフィールはこちら

無人島でもお化粧する?

モリ: 前回の「“モテ”と“モリ(盛り)”」では、女の子たちは、男の子からモテるために“盛る”のではない、という話を聞きました。そして同性の目を気にしているわけでもないということでしたね。女の子たちは本当に自分のためだけに盛っているのですか?

久保: 女の子たちに、お化粧や自撮り、プリ機で“盛る”のはなぜかと聞くと、よく「自己満足です」というようなことを言いますよね。

稲垣: みんながそうというわけではないですが、かつてのギャルや、今でも“盛る”ことに積極的な女の子ほど、そういう傾向はあります。

Ushico PIXTA(ピクスタ)
[画像のクリックで拡大表示]

久保: でも本当に自己満足なのでしょうか?以前、女子大の授業にゲスト講師として呼んでいただいたとき、100名程いた女子学生さんたちに「もしあなたが無人島で1人でいたらお化粧をしますか?」と聞いてみたところ、誰からも手が挙がりませんでした。お化粧をすることには、なんらかのコミュニケーションの目的があるということだと思います。

モリ: 矛盾していますね。

稲垣: 私もコミュニケーションの目的があると思います。かといって、他人の評価だけを考えて、自分の好みではないお化粧をする女の子は、非常に少ないはずです。自分のためのお化粧と、コミュニケーションのためのお化粧の両方があるのでしょう。

久保: 自分のためのお化粧、私はしているのかな。

稲垣: 無人島とまではいわなくても、誰とも会う予定がない日だとしても、お化粧をする人はいると思います。

久保: 耳が痛いですね。私の母は、朝起きた直後から夜寝る直前までお化粧をしているので、小さいころからそうあるべきだと思っていたのですが、私は今、自宅ではいつもすっぴんです。

稲垣: 私もそうです。

モリ: 私の妻はお化粧しているような。

稲垣: 姉妹でも、私とは反対に、姉はいつもお化粧しています。自分のテンションを上げるためのお化粧だと思います。

モリ: 自分のテンションを上げるためのお化粧?

稲垣: 高齢者の方が、お化粧をすると元気になるという話も聞きますが、それも同じことなのではないでしょうか。

久保: 昔の武士も、戦いに出る時はお化粧したっていいますからね。モリさんもいかがですか?

モリ: 会社に行く時、ネクタイを締めて気合を入れるというのはありますが、そういう感じでしょうか。稲垣所長と久保先生はテンションを上げないのですか?

稲垣: 私は、好きなお洋服を着てテンションを上げることはありますが、日常のお化粧ではそんなにテンションは上がらないですね。

久保: 私は、自宅ですっぴんでいるときが、研究のために物事をじっくり考えられるときなので、テンションが一番上がっているような気がします。

稲垣: どういう状態でテンションを上げられるかは、個人差があると思います。

モリ: 今の女の子たちはどういう傾向があるのですか?

稲垣: 女の子たちもやはり個人差がありますね。ただ、今はメイクのトレンドがナチュラル傾向なので、しっかりお化粧をしなくても、テンションを上げやすくなっていると思います。

久保: 整理すると、“盛る”目的には2段階あって、第1段階として自分が活動をするために必要なテンションを上げることがあり、そして、その先にある第2段階としてコミュニケーションがあるのでしょうか。

[画像のクリックで拡大表示]