この連載は、女心のわからないモリシロウ(某電気機器メーカーエンジニア)が、若い女の子たちから絶大な支持を受けるプリントシール機の企画に携わる稲垣涼子(フリューGIRLS'TREND 研究所所長)と、シンデレラテクノロジーを研究する久保友香(東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員)の元を訪ね、女の子たちの「盛る」という行動を糸口に、デジタル時代の女の子たちの価値尺度を学んでいく連載です。
詳しいプロフィールはこちら

“盛る”のターゲットは広がっている

モリ: “盛る”ことに夢中なのは、女子高生だけですか?

稲垣: いえ、プリのユーザーに関して言えばもっと広い年齢層の女性です。我々が調査したところ、高校生から21歳くらいが55.6%を占めますが、22歳以上も34%を超えています。

[画像のクリックで拡大表示]

モリ: 大人も多いのですね。

久保: 1995年に登場した初めてのプリントシール機『プリント倶楽部』は、女子高生から火がついたものの、最盛期には老若男女が使うまでになりました。

モリ: 私も使いましたよ。誰でも1回くらいは使ってそうですよね。

久保: 一大ブームを巻き起こした機械でしたが、実はまだ“盛る”機能は備わっていませんでした。1998年ごろからデジタル画像処理技術が入り、“盛る”機能がどんどんと発展していくにつれ、一旦拡大したユーザー層が若い女の子へと集中していった印象があります。しかし、最近では逆の流れが起きて、再び年齢層が広がり始めているようですね。

モリ: なぜですか?

稲垣: メーカーとして、プリを女子中高生だけのものではなく、大学生や社会人の女性にも楽しんでもらえるものにすべく、進化させてきたということも大きいと考えています。

モリ: 戦略的にも行っているのですね。

稲垣: また、SNSが一般化し、若い女の子たちの好みが多様化している今、それに合わせて多様な機種をラインアップしてきたことで、年上の女性にもプリを撮影してもらえる機会が多くなってきたのではないかと考えています。

モリ: なるほど。

久保: 年齢層が広がってきているのはいつ頃からですか?

稲垣: 若い女の子がいっせいに「目を大きく、髪を明るく」と言わなくなり、ナチュラル志向になったのが、2011年ごろ。好みの多様化が顕著になったのが2014年ごろ。それに伴い、広がってきているかと思います。

久保: なるほど。若い女の子たちがナチュラル志向になったことも、幅広い年齢層が、“盛る”道具を共有するようになった、きっかけになっているわけですね。

モリ: 年齢層の拡大は、今後さらに進むのでしょうか?

稲垣: 進むと考えています。

モリ: そうですか。これからは、大人も“盛る”のですね。

久保: 今回は、大人の「盛り」について考えていきます。

[画像のクリックで拡大表示]