来年引退発表の安室奈美恵の「過去曲」浮上から分かること

 まずは今週のチャートにも影響が表れている、2週間前に起きた2つの大きな出来事について振り返りましょう。

 冒頭でも触れましたが、安室奈美恵が2017年9月20日、2018年のデビュー記念日となる9月16日に引退することを公式サイトで発表しました。新聞やテレビのニュースでも取り上げられるほどのこのトピックは、ビルボード・チャートも直撃。リオ五輪(2016年)のNHKの放送テーマソングとして知られる「Hero」が総合5位に入りました(ダウンロードでは1位を記録)。

 ほかにも14位に「CAN YOU CELEBRATE?」(1997年)、24位に「Love Story」(2011年)、26位に「Baby Don't Cry」(2007年)がチャートに浮上しましたが、これらはフジテレビ系列のドラマ主題歌として、よく知られていたことが、上位に入ってきた理由ではないかと思われます。27位には1996年に安室奈美恵が初めてレコード大賞を受賞し、大ヒットした「Don't wanna cry」が入っていますから。結局、「ビルボードHOT100」にはトータルで11作も、過去曲が急上昇しました。

 こうしたヒット曲を見るにつけ、安室奈美恵には1990年代、2000年代、2010年代のどの年代にもヒット曲があり、幅広く愛されていることが分かります。11月8日に発売される25年間のオールタイムベスト『Finally』は、CDあるいはCD+配信でミリオンヒットになることは確実でしょう。しかも39曲を歌い直し、7曲は新曲だというのですから驚きです。最後まで攻めの姿勢の安室奈美恵。アスリートさながらに、この1年間もベストな状態のまま完走するのではと期待しています。

安室奈美恵「Hero」(エイベックス)
[画像のクリックで拡大表示]

バブリーダンスで荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」が上昇

 そして同じ週、安室の旧事務所の先輩であり、歌いながら本格的に踊る先駆者でもある荻野目洋子の1985年のヒット曲、「ダンシング・ヒーロー」が突如上位にランクイン。

 こちらは大阪府立登美丘高等学校が“バブリーダンス”という、お笑い芸人の平野ノラを想起させるバブル時代の格好でキレキレに踊りまくるという動画の再生回数が旬なアーティストの最新曲をしのぐ勢いとなり、その結果、この曲がビルボード総合で2位という快挙を成し遂げました。

 ちなみに「ダンシング・ヒーロー」は1985年から1986年の真冬のヒット曲ですが、2000年代以降は、東海地方を中心に盆踊りの定番曲として広まり、さらに今年はバブリーダンスとして海外にも広まりつつあります。季節も時代も空間も超えてヒットするのは、やはり根幹となる楽曲や歌唱のチカラが大きいのではないでしょうか。

荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」(ビクター)
[画像のクリックで拡大表示]