創刊20周年の健康情報誌『日経ヘルス』が主催する「日経ヘルスビジネスカンファレンス2018」が7月20日に行われる。最新の健康・美容ニーズと、注目の健康素材を組み合わせた、明日からのビジネスに役立つ情報をお届けするカンファレンスだ。今回のカンファレンスでテーマとなるのが、昨今、幅広い年代の女性に急増している「ゆらぎ肌」だ。ゆらぎ肌と密接な関係があるセラミドについて、長年セラミドに携わるダイセル有機合成カンパニー/コスメ・ヘルスケアマーケティング部マネージャーの山下豊氏が解説する。

――セラミドは、化粧水や美容液などの基礎化粧品に多く配合されており、保湿効果が高い成分として認識している人は多い。そもそもどういう働きや構造を持つ成分なのか。

山下豊氏(以下、山下):セラミドはもともとヒトの肌に存在している成分の一つだ。

 肌表面の角層は、角質細胞が何層にも重なってできている。その細胞同士をつないで隙間を埋めるのが細胞間脂質で、皮膚の水分を保つうえで非常に重要な役割を担っている。

 セラミドは細胞間脂質の主成分で、全体の約40~60%を占めている。細胞間脂質にセラミドが十分に含まれていれば、肌が本来持つバリア機能が正常に機能し、健やかな状態を保つことができる。

 しかし、セラミドの量は、肌の乾燥を招く気候や環境、加齢などによってどんどん減少していく。そこでこれを補う原料素材として、20年以上前から動植物由来のセラミドや合成したセラミドが各社から登場し始めた。

 肌に存在するセラミドは、スフィンゴシンのアミノ基にアシル基がアミド結合した構造を持っており、動物由来のものが近い構造をしている。一方、セラミドに糖(グルコース、ガラクトースなど)が結合したものは「スフィンゴ糖脂質」というが、一般的にはこれもセラミドと呼ばれることが多い。植物由来のセラミドはセラミドにグルコースが結合した「グルコシルセラミド」が主体となる。

 このグルコシルセラミドに着目し、小麦や米、トウモロコシ、大豆、こんにゃく芋などさまざまな植物性の食品をスクリーニングしたところ、グルコシルセラミドの含有量がずば抜けて多いのがこんにゃく芋だった。こんにゃく芋は、こんにゃくを作る際に皮に近い部分をそぎ落とすが、そこにたっぷりとグルコシルセラミドがあった。

山下豊氏:ダイセル 有機合成カンパニー/コスメ・ヘルスケアマーケティング部マネージャー
2002年よりユニチカにてこんにゃくセラミドの事業化に携わる。2015年に事業譲受に伴いダイセルへ入社。2016年4月より北海道大学が設置する「次世代物質生命科学研究センター」内に、同大学と共同で産業創出講座を設置し、こんにゃくセラミドを用いた皮膚機能改善等の共同研究を推進している。
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――こんにゃく芋とは驚き。こんにゃく芋由来のセラミドには、どのような特徴があるのか。

山下:  セラミドといえば保湿コスメ、というイメージを持っている人が多いかもしれないが、こんにゃく芋に含まれるグルコシルセラミドは経口摂取で優れた保湿効果が得られる。小腸から吸収されたグルコシルセラミドはリンパ、血液を通して皮膚に到達する。その結果、角層のセラミドの量が増加することが明らかにされている(※1)。

 また、こんにゃく芋由来のグルコシルセラミドを摂取すると、体内で分解され、スフィンゴイドという物質が生成される。このスフィンゴイドにコラーゲン産生促進作用があることが細胞実験で確認されている(※2)。

 さらに、スフィンゴイドの分子種である4,8-スフィンガジエニン、4-ヒドロキシ-8-スフィンゲニンには、セラミド合成遺伝子を活性化し、角層のセラミドの産生を促進することも確認された(※2)。これらは動物性のセラミドには見られない成分であり、こんにゃく芋由来のセラミドならではの大きな特徴の一つだ。

植物の中でも、こんにゃく芋にはグルコシルセラミドの含有量が多い(写真提供:ダイセル)
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――コラーゲン産生やセラミド合成が促進されることで、実際に肌の状態も改善するのか。

山下:  25歳から55歳までのボランティア45人(男性21人、女性24人、平均年齢34.9歳)に、ソフトカプセル化したこんにゃくセラミドの経口摂取試験を行ったところ、1日20mg(グルコシルセラミド換算で0.6mg)を4週間継続摂取することで経皮水分蒸散量(TEWL)が低下し、肌の保湿性が向上していることが確認された。

 保湿作用がとくに顕著なのは頬だが、上腕部や背部などでも改善効果が認められており、効果は全身に及んでいる。

 さらに、1日40mg(グルコシルセラミド換算で1.2mg)を摂取した群のほうがより高い保湿作用が得られることも確認されている(※3)。

 またアンケート結果からは、被験者がかゆみや肌のキメ、ハリ、潤いなどの改善効果を実感していることも確認できた。

――ゆらぎ肌に悩む女性が急増している中で、経口摂取で高い保湿効果が得られるこんにゃく由来のセラミドは新たなトレンドとなりそうだが、今後の展望は?

山下: こんにゃくセラミドは天然素材なので安全性が高い。更に、配合量がごく微量でも十分な効果が得られる。粉末と乳化タイプの2タイプの品揃えで、サプリメントやドリンクなど幅広い食品の原料素材として使用できるといった、多くのメリットと可能性がある。さまざまなニーズに多様な形で今後も応えていくことができるだろう。

 また、肌のバリア機能の改善に限らず、全身を含む広い意味でのアンチエイジング成分としての可能性についても、専門家と協力しながら研究を進めている。

こんにゃくセラミドの粉末タイプ(左)と、乳化タイプ(右)
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(文/八巻裕実、写真/竹井俊晴)


●日経ヘルスビジネスカンファレンス2018

日時:2018年7月20日(金)12:30~16:00(12:00開場)予定
会場:ベルサール六本木グランドコンファレンスセンター
主催:日経ヘルス、日経BP総研
協賛:帝人、ダイセル
受講料無料:(事前登録制)

◆第一部:12:30~14:00
これからの “食物繊維”機能性の新コンセプトとは
~腸内フローラ改善の決め手!食物繊維“発酵力”の可能性~

◆第二部:14:30~16:00
今、増える最新肌トラブルもアンチエイジングも、飲むバリア改善から
~肌改善に期待される機能性素材の最新トレンド~

創刊20周年の健康情報誌『日経ヘルス』が主催する「日経ヘルスビジネスカンファレンス2018」が7月20日に行われる。今後どんな素材がはやるのか。最新の健康・美容ニーズと、注目の健康素材を組み合わせた、明日からのビジネスに役立つ情報をお届けするカンファレンスだ。
【詳細・参加お申込みはこちら】



※1 J.Ishikawa, et al. J.Dermatol.Sci.56:216-218(2009)
※2 Fragrance journal 37(8),2009.8:68-71
※3 向井克之.BIOINDUSTRY 19(8):16-26(2002)