腸の健康を考えて、腸にいいものを食べる「腸活」が人気だ。そんな中、2016年に腸にいい機能性食材「スーパー大麦」で食品市場に新規参入し、ヒットを作った帝人が、この秋、新たに腸活素材「イヌリン」を投入するという。食物繊維の一種であるイヌリンは、腸活にどのように寄与するのか。ここでは、腸内細菌叢とその機能を専門に研究する岡山大学大学院環境生命科学研究科の森田英利教授に、腸活と食物繊維のかかわりについて聞いた。

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大腸で発酵する水溶性食物繊維に注目

 健康分野で今、注目のキーワードといえば腸。腸内細菌叢が太りやすさや病気、メンタルなどとも関係することが明らかになってきている。この研究の進歩と歩みを合わせるように、腸の健康を考えて、「腸活」に高い関心を寄せる消費者が増えている。日経MJが行った「健康食・サプリ市場調査」(2018年4月2日版)で、健康や美容を意識して食べるもののトップが発酵食品の納豆、2位がヨーグルトだったことからも、「腸活」人気のほどがうかがえる。

 そんな中、2016年に食品事業に新規参入し、発売した機能性食材、「スーパー大麦」でヒットを飛ばした帝人が、この「腸活」市場をターゲットにして新たに挑戦する期待の新素材が「イヌリン」だ。

 同社が発売する水溶性食物繊維であるイヌリンは、天然素材由来で、長さが違う糖で構成されているため、それを食べる細菌の種類も異なり、腸で発酵するという特徴を持つ。その働きは注目の「腸活」にどのような意味を持つのだろう。

腸活の真髄は、腸内細菌が生み出す「短鎖脂肪酸」という物質

 私たちの腸内には100兆個超、重さにして1~2kgの細菌が棲みついている。なかでもその数、種類ともに大量の細菌が棲んでいるのが、小腸の先にある大腸だ。

 口から入った食べ物は、食道から胃に下りて、胃酸と消化酵素によって消化され、消化管上部にある小腸で吸収される。長さ約6m、直径2.5cmの小腸を通過している間に、食べ物の主な栄養分がヒト(宿主)や小腸に棲む細菌たちに吸収されるわけだ。

 小腸を経て、残りかすは消化管下部の大腸に到達する。大腸の長さは1.5mほど、直径は5~7cm ほどある。これまで、大腸は小腸で消化・吸収されなかった残りかすの水分を吸収し、単に「ほどよい便を作る場所」と捉えられていたが、昨今の研究によってこの常識は覆された。「大腸が全身の健康を支えている」ことがわかってきたのだ。

 「長い消化器の中でも、下部にある大腸に棲んでいる腸内細菌叢の有用性がどんどん明らかになり、大腸こそ私たちの健康に欠かせない物質を生み出し、かつ、吸収し、役立てている 現場である、ということが世界の研究者の共通認識となってきています」と森田英利教授は話す。

 大腸は、小腸で吸収、利用されなかった残りの物質(その代表が食物繊維類)が下りてくる場所。だから、消化酵素で分解されなかったり、小腸に棲む腸内細菌が利用できなかったりした食物繊維類を分解して利用する能力を持つ細菌たちが、ここで待ち構えているのだ。

 代表的なのが、ビフィドバクテリウム(俗にビフィズス菌と呼ばれる)、フィーカリバクテリウム、バクテロイデスといった細菌。これらの細菌が食物繊維類を食べて大腸の中で作る物質が「短鎖脂肪酸」などの有機酸だ。聞き慣れないかもしれないが、この「短鎖脂肪酸」こそが、今話題の「腸活」の中心的役割を担う物質なので、覚えておいて損はない。大腸で細菌によって作られている代表的な短鎖脂肪酸は、酢酸、酪酸、プロピオン酸の3種類だ。

腸活の”要”は大腸
小腸は主に、ヒト(宿主)が食べ物の消化と吸収を行う。大腸は腸内細菌がエサ(残りかす=食物繊維類)を食べて短鎖脂肪酸を作り出す
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日時:2018年7月20日(金)12:30~16:00(12:00開場)予定
会場:ベルサール六本木グランドコンファレンスセンター
主催:日経ヘルス、日経BP総研
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受講料無料:(事前登録制)

◆第一部:12:30~14:00
これからの “食物繊維”機能性の新コンセプトとは
~腸内フローラ改善の決め手!食物繊維“発酵力”の可能性~

◆第二部:14:30~16:00
今、増える最新肌トラブルもアンチエイジングも、飲むバリア改善から
~肌改善に期待される機能性素材の最新トレンド~

創刊20周年の健康情報誌『日経ヘルス』が主催する「日経ヘルスビジネスカンファレンス2018」が7月20日に行われる。今後どんな素材がはやるのか。最新の健康・美容ニーズと、注目の健康素材を組み合わせた、明日からのビジネスに役立つ情報をお届けするカンファレンスだ。
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