「∞(むげん)プチプチ」などのヒット商品を生み出した高橋晋平氏は「TEDxTokyo」に登壇するなど、企画・アイデア発想の名手としても知られる。その高橋氏が世の中で話題となっている“トンガリ商品”をピックアップし、開発者に直撃。企画の源泉とアイデアの“転がし方”を探っていく。

 今回のお相手は前回に引き続き、造形作家の乙幡啓子氏。この後編ではトンガリ商品が少なくなってきた背景についての考察と、2人が考える「トンガリ」の要素について。「かわいいは不完全でキモい」という結論に達した理由とは?

乙幡啓子氏(右)。
1970 年群馬県生まれ、東京都在住。ニフティ「デイリーポータルZ」で脱力系工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。ラーメンズ片桐氏との共演DVD「また、つまらぬ物を作ってしまった」が絶賛発売中。また妄想工作所名義で「魚ケース ほっけ」「スペース・バッグ」などの雑貨製作・企画も行う。
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高橋:さっき「鎖がまブローチが売れなかった」っていう話を聞いて思い出したんですけど、僕も、自分で面白いと思って回りも面白がってくれて進みかけた途中で「これはやばい」と思うことがときどきあるんですよ。

乙幡:やばい、というのは?

高橋:これ、売れないだろうなと。

乙幡:ああ、切ない……。

高橋:でも途中まで話が進んでいるから止められない。動き出した時点で、売れるべくして動き出しているはずなんですよ、本当は。でも途中で値段とか素材とか、いろんな問題点に気づいて。ダメだなって思っても止められないんです。価値を残すために必死に試行錯誤する。

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乙幡:あんなに輝いていたあの企画がどんどん輝きがなくなって、でも話が進んでしまってるから、なんとかして磨かないといけない。

高橋:絶対に外してはいけない価値だけはなくさずに完成させることが大事ですね。モノ作りはそこが難しい。世の中にはマーケティングに詳しいというレベルを超えて人の心をも掌握できる、「ヒットの法則」をつかんでいる人はいると思うんですが……。

乙幡:どこかにいるんでしょうね、きっと(笑)。そう思うと、今回のポーチのヒットに関しては、フェリシモというパートナーと組めたのが大きかったと思っています。フェリシモは女性たちがのびのびと働いていて、やりたい企画をどんどん通していろんなものを作っている会社なんですよ。

最近のフェリシモのオリジナル商品で、アザラシが寝そべっている形の抱き枕というか布団収納袋があるんですが、それがパンパンに膨らんで寝そべっている姿の画像が、何万件もリツイートされていたんです。実用性があるのに、かわいくておかしい。そういう商品作りを目指すフェリシモに影響を受けて、ノアの方舟ポーチとモーセの奇跡ポーチが作れたのかもって思っています。他の会社とだったら、この商品は生まれなかったのかも。