今回の対談のお相手はNHK制作局 開発推進ディレクターの小国士朗氏。小国氏が手がけた「プロフェッショナル 仕事の流儀」の公式アプリは、利用者が番組の主役になったかのような動画を作ることができる動画生成アプリ(現在は配信終了)。2016年1月のリリース直後から大きな反響があり、数々の賞を受賞。150万ダウンロードを超える大ヒットアプリとなった。大病を患ったのをきっかけに働き方を見直し、「番組を作らないディレクター」としてアプリ開発やデジタル施策を企画するようになったという小国氏が考える、企画を生み出す源や自らの強みとは?

NHK制作局 開発推進ディレクター 小国士朗氏(右)。2003年NHK入局。「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」「プロフェッショナル 仕事の流儀」などの制作や、150万ダウンロードを突破した「プロフェッショナル 仕事の流儀」のアプリの企画開発を行う。また、個人的なプロジェクトとして、認知症の人がホールスタッフを務める「注文をまちがえる料理店」などを手がける。著作に「注文をまちがえる料理店」(あさ出版)、「注文をまちがえる料理店のつくりかた」(方丈社)。Forbes JAPANのWeb版で「番組を作らないNHKディレクターが『ひっそりやっている大きな話』」を連載中。
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「テレビ番組を作らないディレクター」として作ったアプリが大ヒット

高橋晋平氏(以下、高橋): 小国さんとは知り合って間もないですが、出身大学も年も一緒だということが分かって、すぐに意気投合しました。それに、どちらも病気をしたという共通点があるんですよね。小国さんは「もしかしたら死ぬかもしれない」というほどの病気だったという……。

小国士朗氏(以下、小国): 2013年4月に心室頻拍という病気になり、一時期は集中治療室にも入りました。ある日突然、目の前が真っ暗になって汗も止まらなくなり、脈拍数も上がって病院に行ったんですよ。結果的にことなきを得たんですが、もともと心臓に問題があったようで、何かのきっかけで症状が出てしまったようです。

 僕はテレビ局のディレクターなんですが、病気をしたあとに医者から「テレビの仕事はやめたほうがいい」と言われました。仕事柄、いろいろなところに取材に行くのに、リスクを抱えたまま仕事をするつもりなのか、と。海外など、医療環境が整っていないところで症状が出たら、助からないかもしれない。それで、番組制作の第一線からは外れることにしました。「テレビ番組を作らないディレクターとしてどうやって生きるか」。それを考えながら作ったのが、NHKの看板番組である「プロフェッショナル 仕事の流儀」の公式アプリです。