「∞(むげん)プチプチ」などのヒット商品を生み出した高橋晋平氏は「TEDxTokyo」に登壇するなど、企画・アイデア発想の名手としても知られる。その高橋氏が世の中で話題となっている“トンガリ商品”をピックアップし、開発者に直撃。企画の源泉とアイデアの“転がし方”を探っていく。

 ツイッターでお題をつぶやくと、瞬時に面白い答えが返ってくると話題のAI(人工知能)「大喜利β」。大喜利βを開発した株式会社「わたしは」の代表取締役、竹之内大輔氏のインタビューの後編(前編はこちら)。強いAIでグーグルやフェイスブックに並ぶことを目標にし、AIを使ったサービスを次々に提供しながらも「役に立つAIは作りたくない」と語る竹之内氏の真意とは?

竹之内大輔氏(写真右)。1981年生まれ、群馬県出身。株式会社わたしは代表取締役。大手コンサルティングファーム勤務後、東京工業大学大学院博士課程で数理社会学・内部観測論を研究(博士後期課程単位取得満期退学)。WEBマーケティング会社勤務を経て、2016年4月に大喜利する人工知能「大喜利β」の開発だけに特化した「株式会社わたしは」を創業。社名は楳図かずお先生の『わたしは真悟』に由来する。
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大喜利は会話をエンカレッジするAIなんです

高橋晋平氏(以下、高橋): 最近、大喜利のラップバージョンもリリースされたとか。大喜利とラップの組み合わせはどうやって生まれたんですか?

竹之内大輔(以下、竹之内): そもそも、最初はシャレからスタートしたんです。『SRサイタマノラッパー』という映画が好きで、大喜利のイベントを通じてリアルな埼玉(在住)のラッパーと知り合ったので、その方に社歌を作ってもらいたいという依頼をしたのがきっかけです。僕らはラップをするAIを作るので、トラックメイキングしてほしい、と。遊び半分から始めたけれど、派生して「大喜利ラップβ」としてリリースすることになりました。

高橋: どうやって遊ぶんですか?

竹之内: 人工知能が4行の詩を作って、最後の一行に無理やりお題を入れて投げかけてきます。遊ぶ人はそのお題を受けてリリックを紡いでください。

高橋: 相手も4行で返すんですね?

竹之内: 例えば、「エアロパーツ組んでるみたい、地元の方たちいっぱい」というように、文章の意味はともかく、韻踏みながら、最後の一文に無理やり「こんなすし店はいやだ、それは、答えてみろよ、メーン!」という感じで、AIがお題を振ってきます。それに対してラップで返しながら、最後の一行でAIにお題を振ってください。

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高橋: じゃあ、早速やってみますね。あ、お題来ました! 「結婚式を台無しにした、新婦の父の一言、セイ!」。返しますね。「ところで君、年収いくらだい? 今日はお頭付きのたい焼きだい、みんなで賛美歌歌いたい、今日の式場お寺だい、結婚とはなんのためにする、セイ!」。これでいいですか?

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高橋: これ、返ってきますかね……。あ、来た! 「教会にいる間苦しい、魂のぶんだけでもやせたい、来年からは原監督」。え、そうかな? 「陸の上ではレースの合間、誰もが地元で結果、愛に飢えている人はこんなことで号泣する、セイ!」。なんだか難しいな……。

竹之内: それ、文豪モードに設定されているんじゃないですかね? いくつかモードが変更できるんですよ。「チェンジ」ってひと言入力してください。

高橋: スタイル変更画面が出てきました。ゴシップラップ、お笑いラップ、文豪ラップ、うんちくラップか。色々選べるんですね。

竹之内: 大喜利ラップβには、将来的には合成音声でラップをさせる機能を付けたいんです。今の技術だと、声を出す人が300個くらいのセンテンスをスタジオできっちり読み上げないと合成音声は作れないんです。僕らがやりたいのは、ユーザーが3つくらいのフレーズを言うだけで、その人の声で合成音声が自動的に生成されるシステム。ラップはなんとか書けてもリズムに乗って歌えない人は少なくないと思うので、代わりにAIが歌ってくれればいいと思うんですよね。大喜利AIと聞くとハードルが上がる人もいるかもしれないですが、かみ砕いていうとお題とそれに対する回答、それを受けてガヤ・ツッコミをするという機能。フリ、ボケ、ツッコミって、いわゆる会話なんですよね。大喜利という名前は付いていますが、会話をエンカレッジするAIでもあるんです。