自動運転が当たり前になる時代がすぐそこに来ている今、マイカーを持つ意味とは。 “偏ったクルマ好き”を自称する科学ジャーナリスト・松浦晋也氏がマツダのスポーツカー「ロードスター」を1日乗り回して得た結論は?

 2015年に発売されたマツダのロードスターを1日思いっきり試乗してきた。販売店の関東マツダ(東京都板橋区)が実施している「1日乗りホーダイ!! 1日試乗キャンペーン」に申し込んだのである(2016年8月時点では1日試乗キャンペーンは実施されているものの、ロードスターは対象外となっている)。

 ロードスターは、1989年に発売された初代が「NA」という型式名を持つ。以後2代目(1998年発売)が「NB」、3代目(2005年発売)が「NC」で、2015年発売の最新型が「ND」である。

 試乗当日、東名高速のインター近くの店舗に赴くと、白色のND型ロードスターが待っていた。もちろんマニュアルミッションモデルだ。操作上の注意を受けて、路上へと乗り出す。すぐに東名に乗って、目指すは箱根、そして伊豆スカイラインである。

 ここで筆者のクルマ歴を書いておこう。現在、1994年製のマツダの軽スポーツカー「AZ-1」を所有している。ガルウイング、ミッドシップエンジン配置の特徴的なクルマだ。持っているのはこの1台だけ。15年も乗り続けている。

筆者のAZ-1。ちなみに、この写真はかなり前にJAXA臼田宇宙空間観測所(長野県佐久市)に行ったときのもの。背景は小惑星探査機「はやぶさ」との通信を行った64mアンテナ。現在はここまでクルマで乗り入れることはできない
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 若いころは自動車に全く興味はなく、バイクに夢中だった。自動車に乗るようになったのは、ロケットの打ち上げ取材で度々種子島に行くようになり、現地の足としてレンタカーを使うようになってからだ。レンタカーでずいぶんさまざまな車種を運転したが、それでも、自分で自動車を持つことは考えもしなかった。

 考えが変わったのは、2001年春に友人が所有していた1970年代製のスズキ「ジムニー」に乗ったとき。550ccの2サイクルエンジンを積んだ「SJ10」という車種だった。

 SJ10はひと言でいうと“爽快なクルマ”だった。エンジンは非力だがよく回り、しかも車体が軽いので軽快に走る。インテリアと呼ぶのもおこがましい内装は、簡素にして必要最小限。ぜいたくを感じさせるものは何もない。が、何よりも乗ることが楽しい。ジムニー、特に古いジムニーには熱狂的なファンがいるが、その理由を私は理解した。乗る者の精神を鼓舞する自動車なのだ。

 ずっとバイクに乗り続け、クルマに興味がなかったのは、バイクは乗るのが楽しく、クルマは楽しくなかったからだ。しかしジムニーSJ10はバイクのように楽しかった。これで楽しいクルマを運転したことがなかったことに気がついた。こんなに楽しいのなら、所有してもいいかもしれない。

 そのときに思い出したのが、マツダの「AZ-1」だった。ジムニーの対極にあるような背の低い軽スポーツカーだ。私は大学院で学んでいたことがあるが、そのときキャンパスにいつも1台だけ、真っ赤なAZ-1が軽自動車とは思えないほどの存在感を放ちながら駐車していたのである。3カ月後、私はAZ-1のオーナーになっていた。それから15年、AZ-1は私の人生にとってなくてはならないクルマとなっている。

 と、まあ、そんな偏ったクルマ歴の持ち主が最新のスポーツカーに乗ったことになる。