煮込み料理なら高級鍋、ソース作りは安価な鍋がベスト?

 価格に比例して料理の味が大分変わってくるのが鍋です。また、料理の種類によって使い分けがはっきりしているのも鍋の特徴かもしれません。

 鍋の主な材質は、アルミニウム、鉄、ホーロー、ステンレス、セラミックなどがあります。この中で高額なのはステンレス製。反対にリーズナブルなのはアルミニウム製です。価格の差は、材質の加工のしやすさ。アルミニウムは材料が入手しやすく加工もしやすい材質。一方、ステンレスは原料が高価で加工が難しいため、高額になります。さらに、アルミニウムとステンレスを合わせるなど、異素材を重ねて多層構造にしている鍋もあります。これが一番高額ですね。層が厚くなればなるほど蓄熱性が高くなり、熱がゆっくりとまんべんなくいきわたります。これが、料理がおいしく仕上がる理由。なので、煮込み料理などを作る料理人は、多層構造の鍋を愛用しています。

 一方、アルミニウムの鍋もプロにとって欠かせない調理道具のひとつ。アルミニウムは、熱の伝導率が良く、ほかの材質の鍋よりも早く火がいきわたります。なので、ソースを温めたり、味を手早く染み込ませて仕上げる「卵とじ」のような料理にはアルミニウムの鍋が最適。ただし熱の伝わりが早いぶん、冷めるのも早いので、煮込み料理には向きません。

コーベック「片手鍋マーブルプラス」(飯田屋店頭価格1320円)。3層のアルミ合金でフッ素樹脂加工された鍋。味噌汁など、手早く温めたり、作る料理に適している
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ビタクラフト「ウルトラ 片手ナベ3.0L」(飯田屋店頭価格4万円)。9層の多層構造で熱の拡散率、保温性が高い。25年以上使っているという人も多い
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 プロが高額なステンレスの鍋とリーズナブルなアルミニウムの鍋の両方を必要とするのは、料理の種類によって使い分けているからなんですね。(談)

(文/広瀬敬代 写真/菊池くらげ)