美しくも難しい18番ロングホール。グリーン周辺に観客席

 このゴルフ場の魅力は何といってもコースの面白さにある。トリッキーという程ではないが、谷や池、クリークなどが次々に現れ、ホールごとの個性を競う。時には厳しいバンカーがプレーヤーに重圧を掛け、巨大なグリーン(ベント芝)が正確な距離感を要求する。今回初めてラウンドしたが、プレー後に思い出せないホールは18ホール中2つしかなかった。

6番ホールから7番ホールを望む。いったいどうなっているのだろう
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巨大なグリーン。ファーストパットの距離感が問われる(3番)
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 当日はOUTコースからのスタート。1番ミドルホールはいきなりの「谷越え」だ。不安が先立ち、「まだ体が温まっていないので…」と予防線を張らされる。「この辺りは平坦地の割に谷の多い地形なのです」と同伴してくれた常連さんは楽しそうだ。

OUTコースからスタート。手前より遠くを見つめてティショット(1番)
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グリーンに向かって上り傾斜。距離が短くても注意が必要だ(1番)
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 刺激はホールを重ねるごとに強まった。続く2番ホールは左右にOBゾーンがあって狭いうえ、フェアウエーの途中に10mもの段差が控える。転げ落ちそうな急勾配を横から見て、ここがヤワなコースでないことを実感する。

レイアウト図を見ただけでは高低差に気づかなかった(2番)
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ブラインドホールの2番には「前方確認モニター」が設置されていた
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緩やかな下り傾斜が続くように見えたが、とんでもなかった(2番)
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突然現れた急斜面。段差は10m位ありそうだ(2番)
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 3番ロングホールは左側が高く、右側が低い“2段フェアウエー”だ。「右か左かはボールに聞いてくれ」と開き直って放ったティショット。だが、こんな時に限ってボールは真っ直ぐに飛び、中央の傾斜地に落下した。正面の立ち木が邪魔になる。

広々としたフェアウエー。良く見ると中央に大きな段差がある(3番)
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中央部の段差は思いのほか大きかった(3番)
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右側(下段)の方が厄介そうだ(3番)
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左側のフェアウエーは思った以上に広かった(3番)
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 各ホールを紹介しても切りがないので、以下は勝手に自分で「名物ホール」と命名したホールを3つだけ紹介したい。最初はOUTコースの7番ロングホールだ。このコースでは複雑なホールに必ずレイアウト図が設置してある。7番でもまず、そのボードを覗き込む。

フェアウエー両サイドに池。レイアウトをよく確認したい(7番)
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右側の池はフェアウエーに沿うように長く続いていた(7番)
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 左右に池。左側の池はフェアウエーから少し離れているので心配なさそうだが、右側の池はクリーク状にコースに沿ってグリーン方向まで伸びる。さらに、2打目地点で目をむいたのが、津波のような形状をしたガードバンカーだった。もちろん入れたくはなかった。が、必要に迫られて中に入ってみると、アゴが異様に高く、ピンフラッグの頭さえ見えなかった。

バンカーを避け左側から攻めるのが、遠回りのようでも正解(7番)
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バンカーの中からはピンフラッグが全く見えなかった(7番)
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 INコースの「名物ホール」は15番のミドルホールと最終18番のロングホールの2つ。15番はグリーンの右手前の深い窪地が戦略性を高める。常連さんが「左から、左からですよ」と大きな声でアドバイス。「以前、谷底から脱出できず、ギブアップした人もいました」とも。

レイアウト図を見ても「谷」の存在はイメージできなかった(15番)
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最初は平凡なホールに見えたが…(15番)
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 近づいてみると、窪地の入口に低いネットが張り巡らされている。今回同伴してくれた会員さんが説明してくれた。「みんなボールを窪地に入れてしまうので進行が遅れ、このホールはいつも大渋滞。そこでネットを設けてボールが転がり落ちないように工夫したのです」。

 それでも落下してしまった場合はフェアウエー上に設けられた特設ティから無罰でプレーを続行できるのだという。設計者(吉崎満雄氏=緑営開発社長)から見ればとんでもない救済策だが、それほど渋滞が恒常化していたということなのだろう。

突然、右サイドに深い谷。落としたら大変そうだ(15番)
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谷の周りに張られたネット。最近登場したそうだ(15番)
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 最後の「名物ホール」は18番のロングホールだった。ティインググラウンドに立つと手前に日本庭園風の美しい池。その池がコースの左側を伴走し、途中からフェアウエーを斜めに横切り、最後はグリーンの右サイドに至る。実際にはグリーンが最も高い場所にあるため水の流れは逆となり、まずグリーン脇から渓流のように流れ出し、フェアウエーを下りながら川幅を広げ、ティインググラウンド前の池に流れ込むという構図だ。

18番ホールのティインググラウンドからは正面に時計台が見えた(18番)
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2回目の池越え。グリーンまでは遠い。どこに刻むか(18番)
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 いずれにしてもグリーンにたどり着くには2度、池越えに挑戦しなければならない。特に2度目は、どの地点からどの方向を狙うかで難しい判断を迫られる。「ティショットは真ん中に見える杉の木の右側へ。左側はすぐ池ですよ」と会員さんが叫ぶ。常連さんが「2打目で無理に池越えを狙わなくても(池の)右サイドを狙うルートもありますよ」と教えてくれる。2人に共通した思いは「絶対に欲をかいてはダメだ」ということ。

フェアウエーを横切るクリーク。美しくも難しいホールだ(18番)
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安全に、安全にプレー。ここまで来れば後はしっかり乗せたい(18番)
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 18番ホールは景観の美しさでも突出していた。トーナメントの舞台を前提に設計されたため、グリーン奥には美しい「時計台」が待つ。その下部とグリーン周辺には観客席が並べられ、大歓声がこだましたであろう往時の優勝シーンを想像させる。

 今は観客席に人影はなく、言葉は悪いが廃墟のよう。夕日を浴びた建物には寂寥感が漂い、万事“夢の跡“といった感じだ。同じ千葉県にある佐原CCの18番ホールに同じ様な遺構があったことを思い出す。

グリーンサイドにもたくさんの観客席が造られていた(18番)
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時計は止まったまま。無人の観客席が冬の夕日を浴びていた(18番)
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