厳しいハザードは部分的。ピート・ダイ設計の割には穏やかなコース

 1番ミドルホールは比較的穏やかに思えた。確かに左右のマウンド群、グリーン手前のグラスバンカーなど厄介なハザードはあるが、距離はレギュラーティから302ヤードと短く、フェアウエーも平坦で、横幅もそれなりに確保されいる。レイアウトの厳しさよりも、ススキに良く似たパンパスグラスの生えたリンクス風の景観の方が記憶に残る。

1番ミドルホール。左右のマウンドにピート・ダイらしさを想う
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野趣に富むパンパスグラスがリンクス風の景観を演出する(1番)
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 2番ロングホールはグリーン近くに配された「池」が曲者だった。しかし、左側に安全ルートが用意され、ピート・ダイ流の「恐怖を感じさせる」ほどの厳しい設計ではない。むしろ人工的に整備された池の流線形フォルムに造形美を見る。

広いフェアウエー。2打目地点で池がはっきり見えてきた(2番)
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ピンをデッドに狙うには勇気が求められた(2番)
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同伴者さんはピン側に「ナイスオン」。羨ましい(2番)
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鉄塔はあるが背にすることが多く、あまり気にならなかった(2番)
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 次の3番ホール以降はインパクトの弱いホールが続いた。ちょっと肩透かしを食ったような感じだ。やっと6番ミドルホールで厳しいポットバンカーに遭遇。7番から9番までは池がらみのホールで刺激を受けたが、それでも前半は総じて穏やかなコースという印象が強い。

一般的な林間コースの雰囲気(4番)
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緩やかに右に曲がるレイアウト。「ドキッ」とすることはなかった(5番)
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この形はちょっと異様だ(6番)
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美しい池も出現。日本庭園的な景観を造る(9番)
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 スコアも良かった。グリーンのアンジュレーションが驚くほど強くなく、フェアウエーも予想していたより起伏が少なかったことが好結果に繋がった。同伴者さんも「良いコースですね」と落ち着いた表情を見せる。

グリーンのアンジュレーションは予想したほど激しくはなかった(4番)
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細かな起伏はあるものの、戸惑うほどではない(7番)
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 前半の9番ホールが終わったところで、“休憩所“に立ち寄りひと休み。朝、クラブハウスで購入したパンをほおばり、自販機で購入した飲み物で喉を潤す。「コーヒーが1本130円、ビールが270円だ。(市中価格並みで)安い、安い」と同伴者さんが素っ頓狂な声を上げた。他のゴルフ場ではスポーツドリンクが250円前後もする。それに比べれば確かに安い。いや他のゴルフ場が高過ぎるのだが…。

パンやおにぎりなどを食べてひと休み(10番)
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缶ビール270円、ソフトドリンク130円の価格設定は好印象
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 気持ちを入れ替えて後半戦に挑む。最初の10番ホールでは前半とは違う荒々しい景観に一瞬、戸惑った。谷越えのミドルホールで、レギュラーティの側に「谷越え154ヤード」の標識。バックティからは「谷越え165ヤード」とある。谷にはパンパスグラスが群生し、ワイルドな雰囲気を強調する。

 後で関係者の方が「手入れせず、わざと自然のままの状態にしてあります」と教えてくれた。18ホールスループレーの原点はゴルフの聖地、「セントアンドリュース・オールドコース」にある。「ワンウェイGC」でもあの荒涼とした風景を思い浮かべながらプレーしてもらいたいという思惑が秘められているのかもしれない。

親切な「谷越え」表示。これは安心感につながる(10番)
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突然現れた大きな谷。後半のホールの方が難しそうだ(10番)
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 12番がこのコースの「名物ホール」だった。レギュラーティからの距離は287ヤードと300ヤードを切る。だが右サイドに池。グリーン手前は上り傾斜で、その途中にアゴの高いガードバンカーが横に長く口を開ける。距離が短くてもちょっとしたミスが大叩きに繋がりそうな危険な香り。実際、2打目をミスし、バンカーの難しさをしっかり味わわせてもらった。

池とバンカーが厳しい12番ホール。このコースの看板シーンだ
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池のある風景は美しい(12番)
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「記念にバンカーに入れてみた」とうそぶく(12番)
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グリーン手前はかなりの上り傾斜。距離感の難しいホールだ(12番)
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 それでも14番ホールまでは“我慢のゴルフ”を実践することができた。スコアは「パー」が4つ。悪くても「ダブルボギー」止まりで何とかしのいできた。だが、「この調子なら好スコアで上がれそうだ」と思った15番ホールから急に変調をきたした。ドライバーが当たらない。アイアンでチョロが出る。アプローチに至ってはシャンクまで…。

ボールの行方が気になった(15番)
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「絶対に入れてはいけないバンカー」がプレッシャーを掛けた(15番)
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 穏やかな前半に比べ後半の方が厄介なレイアウトが多く、難易度が高いのは確かだが、原因はそれだけではなかった。情けない話だが、気が付かないうちに足腰に疲れが出てきたのだ。いわゆる「手打ち」病。同伴者さんも終盤のホールで「トリプルボギー」や「ダブルパー」を叩き、スコアを大きく崩していた。

 結局、上がってみればいつもと大差のない平凡なスコア。やはりスループレーで18ホールを回り切るには「強い足腰」と「めげない気力」が欠かせないと痛感させられた。

気力を振り絞ってティショット(17番)
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日頃から足腰を鍛えている同伴者さんは最後まで元気いっぱい(18番)
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 面白いコースだった。だが、ピート・ダイ流の「浮き島グリーン」や月面を思わせるようなポットバンカー群は最後まで現れず、やや拍子抜けした面があったのは事実だ。

 池は多いが厳しい場所にはなく、バンカーの総数も65とやや多い程度。後日、関係者の方から「設計はピート・ダイですが、息子さんが主体だったという話もあります」と聞いて「なるほど。そうかも」と納得した。

この時季はラフも浅く、比較的打ちやすく感じた(11番)
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林間コースの割に立ち木は少ない。困ったのはこの高木くらいだった(11番)
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左側に潜む池は思った以上に大きかった(7番)
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9番ミドルホールもティインググラウンド前に池が登場した
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 コースを短く感じなかったのは4つのショートホールが比較的長かったためでもある。またロングホールで76ヤード(レギュラーティから、以下同)、ミドルホールで153ヤード、ショートホールで50ヤードと最長ホールと最短ホールとで距離に差があり、ホールごとのメリハリが利いていたことも影響したかもしれない。

ショートホールは比較的距離が長く、難しいと感じた(17番)
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ここではレギュラーティは「白」でなく「青」になる(18番)
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 心配していたメンテナンスは良好だった。「コース内に落ち葉が散乱。もっと人手をかけて除去しておくべきだ」(同伴者さん)という指摘には同調するが、目土はしっかりなされ、バンカーの縁取りもきれい。キャディさんのいないセルフプレーのコースにしては荒れた感じはなくホッとした。落ち葉のない季節なら上質なコースとの感想を抱くに違いない。

落ち葉が散乱し、ボールを見つけにくい場面もあった(7番)
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縁がきれいにカットされた美しいバンカー(14番)
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 特にグリーンは担当者さんの丁寧な仕事ぶりを感じさせる仕上がりだった。ベント芝のワングリーンで、当日の速さは9.8フィート。「普段から10フィートは出るように調整している」(男性スタッフさん)そうで、芝質も旧来の「ペンクロスベント」に最新の「007」を加え、目下、3年がかりで改造中だ。大きさは平均で650m2。中には800m2を超える大型グリーンもある。

柱に当日のグリーンコンディションを表示する
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コンディションは良好。ボールはカップ周りでスーと切れた(3番)
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巨大グリーン。距離感が厳しく問われる(10番)
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大きなワングリーン。優秀なグリーンキーパーさんがいるそうだ(5番)
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 セルフプレーでもラウンドしやすいようにコース内には様々な工夫があった。ティショットの狙い場には赤旗が立ち、排水溝の蓋にはグリーン中央までの残り距離を記したプレートが置かれ、四角柱のヤーデージ杭は4面全てに数字が書かれていて見やすい。終盤の3ホールには夜間照明設備があり、日没の早い時季でも安心してプレーできる。

ティショットの狙い場所には赤旗が立つ(1番)
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排水溝の蓋にもグリーン中央までの距離を表示する(2番)
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数字は四角柱の4面全てに書かれ、とても見やすかった(4番)
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最後の3ホールには夜間照明設備が整っていて安心できる(18番)
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 部分的だが50、100、150と数字を書いたカービーマーカーも埋め込まれている。時計も設置され進行の遅れにさりげなく注意を促す。かすれて読みにくいところが多かったが、カート道路にも進行を助ける矢印や大きな数字が描かれていた。

グリーン中央までの距離を示すマーカーが所々に埋め込まれていた(4番)
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5番ホール脇には時計が設置されていた。スロープレーは厳禁だ
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複雑に入り組んだコースレイアウト。カート道には矢印がある(5番)
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もうそろそろ塗り替えした方が良さそうだ(16番)
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 コース内施設についても簡単に触れておきたい。いわゆる「売店」はなく、代わりに「自販機とトイレと雨宿り用の屋根」のついた小屋が8ホールに登場する。3番と12番、14番で見かけた小屋は実は同一のものなので、実際の数はもう少し少ないのだが、ラウンド中に不便を感じることは全くなかった。避雷針の付いた「避雷小屋」(2カ所)は老朽化していたが、他の小屋はまだきれいだった。

コース内には「トイレ+自販機」の建物が多い(12番)
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7番ホール脇の避雷小屋。珍しくレイアウト図が貼り出されていた
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