7月に入って、いよいよ夏真っ盛りだ。2016年の夏は「史上最も暑い年になる」と言われている。実際に「エアコンの効きが悪い」などと感じている人も多いのではないだろうか。古いエアコンを使い続けている人は、冷房代がかさみそうな今年の夏こそ買い替えどきだ。そこでエアコンを選ぶ前に、最新のトレンドについて紹介していこう。

エアコンは“電気食い虫”?──半分はホント

 2011年3月に発生した東日本大震災によって電力危機が発生したことは記憶に新しい。当時は地域持ち回りで計画停電を行うなど電力需給バランスが大幅に崩れたことから、省エネ気運が高まった。

 当時はエアコンを使わずに扇風機で過ごす人が増え、扇風機もAC(交流)モーター搭載の従来機種から高級なDC(直流)モーター搭載の高級機種が飛ぶように売れた。それは「エアコンは電気を食う」というイメージが広く浸透していたことも大きな要因になっていると考えられる。

 ではエアコンは本当に省エネの敵なのか? これについては「イエス」とも「ノー」とも言える。

 まず「暖房」と「冷房」の違いを考えたい。今の時期必要な「冷房」の比較対象は「扇風機」になるため、これと比較するとエアコンの消費電力はかなり高い。

 例えば、エアコンのパナソニックの最上位機種「Xシリーズ」の10畳用モデル「CS-286CXR」(単相100Vモデル、実勢価格20万1260円)の場合、冷房の期間消費電力量(6月2日から9月21日までの112日間で、設定温度は27℃、時間は6時から24時までの18時間)は203kWh。冷房期間の電気代の目安は5481円となる。

 一方、一般的なACモーター搭載の低価格扇風機の場合、消費電力は40W前後だ。24時間使い続けても1カ月の消費電力量は28.8kWhで、1カ月の電気代は778円(1kWhあたり27円換算)程度。上記のエアコンと同じ計算式(1日18時間×112日間)で単純に計算すると、一般的なACモーター搭載扇風機の期間消費電力量は約81kWhで、電気代の目安は約2177円となる。

 エアコンを、「単純に送風するだけの機械に比べて約2.5倍程度の電気代で済む」と考えるか、それとも「扇風機よりも約2.5倍も電気代がかかる」と考えるかはそれぞれの考え方次第だ。ただしACモーターに比べて消費電力の低いDCモーター搭載扇風機の場合、エアコンとの差はさらに開いてしまうことは覚えておいてほしい。

パナソニックの「Xシリーズ」(写真は14畳用モデルの「CS-X406C2」)
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実は「扇風機並み」の省エネエアコンもある?

 先ほど、冷房機能については比較対象が扇風機になってしまうため、省エネとはなかなか言いづらいと紹介した。しかしそこはメーカーも十分承知しており、一部のメーカーは扇風機並みの消費電力を実現した機能をラインアップしている。

 例えば東芝の「節電運転」モードの場合、冷房・暖房中に「節電」ボタンを押すだけでACモーター搭載扇風機並みの消費電力45Wでの運転が可能になる。2つのシリンダーを搭載し、必要な能力に応じてシリンダーの運転を切り替える「エナジーセーブコンプレッサー」の採用によって実現したもの。冷房能力の下限が0.2kWと他社に比べて低いのは、このエナジーセーブコンプレッサーがあってこそと言えるだろう。

東芝の「エナジーセーブコンプレッサー」の仕組み(東芝のWebサイトより)
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 三菱電機の「ハイブリッド運転」の場合はセンサーで体感温度を検知しながら、体感温度が高いときは冷房、低いときは「爽風」(送風モード)というように自動で切り替えられるようになっている。

暖房の省エネ性能はかなり高いので大いに使うべし!

 一方、暖房でも「エアコンはエネルギー効率が悪い」と考えている人は多いのではないだろうか。だが実は、エアコンほど省エネ性能の高い暖房器具は他を見渡してもないのだ。

 一般的な電気暖房はエネルギー効率が悪く、暖房代(電気代)がかかってしまうのは間違いない。しかしエアコンの場合は効率性を大幅に向上する「ヒートポンプ方式」を採用しているので、消費電力以上の冷暖房性能を実現しているのだ。例えば前出のパナソニック「CS-286CXR」の場合、消費電力は690Wで、暖房能力は3.6kWだ。1000Wの電気暖房の暖房能力は1000Wだから、エアコンの場合は約5.2倍もの暖房効率になる。

パナソニック「Xシリーズ」の10畳用モデル「CS-286CXR」(単相100Vモデル、実勢価格20万1260円)の仕様(パナソニックのWebサイトより)。690Wの消費電力で3.6kWの暖房能力を実現していることになる
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 エアコンの場合は冷房も暖房も空気が乾燥するという大きなデメリットがあるものの、暖房効率についてはかなりの優等生であることを覚えておこう。