オフライン地図や安否情報は課金制に

 安否情報を伝える機能を備えているのも、ポケットシェルターの画期的な点だ。災害伝言板などの機能は通信回線がないと使えないし、企業などが導入している安否確認サービスでは安否確認メールを出してもなかなか返事がないなど運用が難しい場合があるが、このアプリはひと味違う。地震発生の前後3時間の間に震源地から半径150km以内にいるユーザーの位置情報を検知し、それが地震発生後も一定距離を移動していれば、「無事でいる可能性が大きい」と判断。事前に登録しておいたメールアドレスに通知するのだ。もちろん、これで完璧ということではないのだが、避難中に安否を自動的に確認してくれるのはありがたい。

 とはいえ、非常時にGPS情報をサーバーに送信できるのかという疑問も湧く。その点について藤川さんは「基地局が倒壊すればできません。ただ、基地局が無事でも混雑していてなかなか通信できないという状況であれば、位置情報はメールなどと違って通信量が少ないので、送信できる可能性は大きいと考えています」ということだった。

 なお、システムはアマゾンのウェブサービス(AWS)を利用しており、日本国内の災害でサーバーが影響を受ける心配はまずないだろう。また震源地から半径150km以内という設定が適当かどうかについては、今後いろいろと検討していくとのことだ。僕としては「震度5以上の地域にいた人」といった範囲を対象にしてほしいが、いかがだろう。

 「ポケットシェルター」は、災害時に役立つアプリの筆頭と断言できる。難点を挙げるとすれば、これまで無料だったこれらのサービスがアップデートで一部有料になったことだ。オフライン地図や安否情報を利用するためには、月額300円が必要になった。

 初めてアプリをリリースしたベンチャーなので、ユーザーとして応援したいところだし、課金は仕方ないのかもしれないが、「次のアップデート以降は、課金しないと使えなくなる機能がある」というようなアナウンスが事前になかったのは残念だ。ユーザーは課金には敏感なので、もう少し気を配るとよかったと思う。

 僕としては、家族でそれぞれの安否を共有するためにも、家族全員のスマホに入れておきたいアプリだ。月額300円は、コーヒー1杯分と思えば高くはないものの、家族4人だと1200円……まとめて払う立場としては悩ましい。家族割引などの仕組みが導入されるのを期待したい。

事前に登録したメールに安否情報を自動送信する仕組みを搭載
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災害時に役立つSNSのリンクも搭載するなど、気が利いている
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著者

戸田 覚(とだ さとる)

1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。近著に、『ここで差がつく! 仕事がデキる人の最速パソコン仕事術』(インプレス)がある。
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