「ためすぎ」は逆効果

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 精子の老化には活性酸素が大きく影響している。活性酸素は全身の老化の原因にもなっているが、特に精子は活性酸素によって酸化されやすい。木村講師たちの調査から、「精液の抗酸化力が強い人ほど精子の運動率が高い」ことが分かった(下グラフ参照)。「精子のアンチエイジング」には、活性酸素を抑えることが重要になる。

提供:帝京大学医学部附属病院泌尿器科、木村将貴講師
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 まずは規則正しい生活を心がけ、ストレスをためないこと。睡眠時間が7時間を切ると精子の質が悪くなるというデータがある。また、「夜勤が多い人は精液の所見が悪いことが多い」と木村講師は話す。

 最悪なのはタバコだ。この連載でも繰り返し触れてきたように、タバコは大量の活性酸素を発生させ、老化を促進する。子どもが欲しければ、まずは禁煙してほしい。

 ビタミンCやEなど、抗酸化作用が強い栄養素をサプリメントで補うのもいいだろう。

 「特にコエンザイムQ10は精子に含まれるミトコンドリアの活性酸素を消してくれるため、帝京大学病院でも積極的に活用している」と木村講師。27~39歳の男性不妊症患者55人を対象にした研究で、1日200mgのコエンザイムQ10を6ヵ月のむと、精子の運動率が高まることが確認されている(Fertil Steril. 2009 May;91(5):1785-92)。

 精子を作るのに必要な亜鉛やセレンのサプリメントもいい。食品では、牡蠣、レバー、アサリ、ニンニクなどに多く含まれている。

 もうひとつ、精液を「ためすぎない」こともポイントだ。

 禁欲生活を長く続けていると精液が濃くなって良さそうな気もするが、精子の寿命は3日程度。ずっとためておくと、精液中に死んだ精子が増えてしまう。「精子の運動率も悪くなるので、週に1~2回は出したほうがいい」と木村講師はアドバイスする。

 個人差が大きいとはいえ、子づくりのタイムリミットは男性にだってある。子どもが欲しい人は、本気で「精子のアンチエイジング」を心がけてもらいたい。

(文/伊藤和弘、イラスト/うぬまいちろう)

今回、教えていただいたのは、
帝京大学医学部泌尿器科の木村将貴講師

2002年、弘前大学医学部卒業。北里大学医学部泌尿器科助教、米デューク大学メディカルセンター泌尿器外科フェロー、東邦大学大森病院リプロダクションセンター客員講師などを経て、2014年より現職。日本泌尿器科学会専門医。日本性機能学会評議員。日本抗加齢医学会員。