フルサイズユーザーにこそ、この実力を試してほしい

 フルサイズに慣れ親しんだユーザーには、マイクロフォーサーズのボケの小ささをネガティブに捉える向きもあると思う。しかし、フルサイズだからといって常に絞り開放で撮影することはないだろうし、被写界深度が欲しいときもある。マイクロフォーサーズなら、絞り込まなくてもある程度の被写界深度が稼げるので、シャッター速度が遅くなってブレたり、ISO感度を上げて画質が荒れる心配が少ない。つまり、フルサイズにもマイクロフォーサーズにもそれぞれメリットはあるということだ。

 このレンズは全域F4、つまりフルサイズに置き換えると開放時のボケはF8相当ということになる。正直、あまりボケるレンズではないが、50mm以上の望遠側にすればそれなりにボケてくれる。マイクロフォーサーズには小さくて軽い単焦点レンズもいっぱいあるので、標準域で大きなボケが欲しい人は、好みの焦点距離の単焦点レンズを併用すればいい。

 OM-D E-M1 Mark IIとこのレンズの登場で、オリンパスは新しい価値を創造したという声をプロ写真家からもよく耳にする。2つをセットで買うと30万円を軽く超えるのが悩ましいところだが(なので僕も買い替えられず……)、でもその値段の価値は十分あると思う。これまでオリンパスあるいはマイクロフォーサーズのカメラを手にしたことがない人にこそ、ぜひ使ってみてほしいと思う。

望遠端の最短撮影距離は45cm(広角端では15cm)なので、マクロレンズ的な使い方もできる。こういうときは、フォーカスリングを手前に引くと瞬時にマニュアルフォーカスに切り替わる「マニュアルフォーカスクラッチ」が重宝する(OM-D E-M1 Mark II使用、ISO200、1/1000秒、F4、100mm)
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前ボケで幻想的な絵を作ってみた。こうしたアレンジは、単焦点レンズよりもむしろ高倍率ズームの方がやりやすい(OM-D E-M1 Mark II使用、ISO200、1/60秒、F4、100mm)
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やや派手目な絵づくりをするオリンパスだが、こうした渋い被写体も味のある再現をしてくれる(OM-D E-M1 Mark II使用、ISO200、1/40秒、F4、54mm)
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太陽がスポットライトのようにレンズへ差し込むという、かなり意地悪な状況。わずかにゴーストが現れているが、レンズ枚数の多い高倍率ズームでこの結果は極めて優秀だ(OM-D E-M1 Mark II使用、ISO200、1/100秒、F5、12mm)
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鹿野貴司(しかのたかし) 写真家
氏名 1974年東京都生まれ。雑誌や広告のほか、カメラ・レンズのカタログなど、幅広い撮影を手がける。仕事でデジタルを使い倒す一方、フィルムをこよなく愛し、ハッセルブラッドやローライフレックスで作品を撮り続けている。9月下旬には3冊目の写真集「山梨県早川町 日本一小さな町の写真館」を平凡社から発売。個人ブログは「とれどれぐさ」。