今回紹介するのは、シグマが2015年11月末に発売した「20mm F1.4 DG HSM」だ。20mmという超広角ながらF1.4と明るい高性能レンズで、被写体をワイドにとらえつつ大きなボケが得られることが多くの写真ファンから注目を集めている。気になる描写性能や使用感を、鹿野カメラマンがチェックした。

 シグマは、描写性能を追求した「Artライン」の交換レンズとして、2012年11月に発売した「35mm F1.4 DG HSM」を皮切りに、2014年4月発売の「50mm F1.4 DG HSM」、2015年3月発売の「24mm F1.4 DG HSM」と、F1.4の明るさを持つ単焦点レンズを展開してきた。現在のプロダクトラインが生まれる前に登場した「SIGMA 85mm F1.4 EX DG HSM」もあり、24mmから85mmまでをF1.4の明るい単焦点でカバーできる。

 これだけあればスナップやポートレートには十分という気がするし、それより短い(あるいは長い)焦点距離になるとF1.4の明るさは技術的にちょっと難しいだろうなぁ……と思っていた。だが、シグマは見事に実現してきた。それが、今回紹介する「20mm F1.4 DG HSM」である。

シグマが2015年11月に発売した「20mm F1.4 DG HSM」。キヤノンマウント、ニコンマウント、シグママウントの3種類を用意する。実売価格は11万5000円前後
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 かつて、シグマには「20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF」というレンズが存在していた。確か2000年発売で僕も使っていたのだが、まだフィルム全盛時代の製品。絞っても向上しない周辺画質などを考えると微妙なところではあるが、細かいことを気にしなければ今でも十分実用できる。それだけ明るい20mmがほかにないため、天体写真の分野では今も愛用者が多いらしい。F1.4はさらに半絞り明るく、しかも画質は格段に向上している。前述の20mm F1.8を愛用している天体写真愛好家の方は、即買い替えるべきだと思う。

 この明るさが生きてくるのは、もちろん天体写真だけではない。広い画角ゆえ、室内での撮影に便利だし、強い遠近感と大きなボケを両立させた街角スナップもおもしろい。少し絞れば高い解像力を発揮し、超広角ズームよりワンランク上の描写を得られるのもポイントだ。

水平垂直をきっちりと保つと、超広角特有の独特な空間描写ができるのも20mmの特徴。ファインダーや液晶に表示される電子水準器を活用しよう(EOS 5D Mark III使用、ISO400、1/10秒、F4)
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何の情報もなければ、これが20mmで撮った写真だと思う人は少ないだろう。画角の広さで前後を広く取り入れることができる(EOS 5D Mark III使用、ISO400、1/200秒、F1.4)
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ほんの少し傾いてしまった失敗例だが、F11まで絞ると深いピントが得られた。右端に太陽があり、わずかにゴーストが見られるものの、ここまでクリアに写るのは驚きだ(EOS 5D Mark III使用、ISO100、1/125秒、F11)
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