今回のお題は、富士フイルムのミラーレス一眼「FUJIFILM X-T20」だ。一瞬のシャッターチャンスを逃さずキャッチすべく、オートフォーカス性能や連写性能の優れるカメラをひたすら追い求めてきた落合カメラマンだが、X-T20を選んだ理由はまったく異なるそう。落合カメラマンの写真人生を変えてしまうほどの1台になるかもしれないのだ。

 当連載のバックナンバー「富士フイルム『X-T2』を使って導いた『アレ?』な結論」で、私は「(今回レポートしたX-T2ではなく)X-T20を手に入れることにしましたぁ~(笑)」などというシツレー極まることを述べていた。X-T20というのは、いってみりゃX-T2の弟分。あからさまに廉価版という捉え方をしても怒られはしないだろう。富士フイルムのAPS-Cセンサー搭載ミラーレス機の事実上のトップモデルであるX-T2&X-Pro2よりも機能が削られている代わりに、より小さく軽く安くなっている……X-T20はそんなモデルだ。

富士フイルムのミラーレス一眼「FUJIFILM X-T20」。撮像素子や画像処理エンジンは「X-T2」「X-Pro2」などの上位モデルとまったく同じで、小型軽量ながら画質や性能に抜かりはない。実売価格は、ボディー単体モデルが9万1000円前後、レンズキットが11万2000円前後。このX-T20は落合カメラマンの私物で、装着しているレンズは開放F2の「XF23mmF2 R WR」(実売価格は4万5000円前後)だ
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 あの発言に対する後悔や反省は一切ない。なぜか? 偽らざるホンネだったからである。だから、その後、私はちゃーんとX-T20を入手している。ヘソの曲がった思いを世界に発信してしまったことで引っ込みがつかなくなった……っつうワケじゃありませんぜ。

 とかナンとかいいつつ、困っていることがひとつ。こうなるに至った心情というか明確な理由というか、要するに本件に係る「説得力のある説明」を構築することに少々、難儀しているのだ。私のお買い物が、いつでもおおむね「直感」をその最大の決断理由として決行されているのは事実。今回も、巨視的には従来の当該行為=衝動買いと何ら変わるところはないといえる。でも一方で、X-T20に対する購買意欲の盛り上がりはこれまでとは少しばかり趣の違うものであるようにも感じていた。何かこう、ほんのりとした違和感が払拭できなかったというか、なんというか……。

マニアくささを感じさせないデザインと小ささを評価

 APS-Cサイズのセンサーとは思えない(フルサイズをも凌駕しそうな)高精細、かつ鮮やかな仕上がりが上位機X-T2やX-Pro2と同じように、いや、さらに手軽に得られるところがX-T20最大の魅力だ。突き詰めた部分の機能・性能や作り込みなどを求めないのであればX-T20で十分……私は、X-T2を使った後にX-T20を使う機会に恵まれ、そう実感することになった。手軽さ、気軽さ、ちょうど良さを重視した結果のX-T20の選択だといってもいい。ムリして背伸びをしなくても、X-T20さえあれば「X」の魅力は十分に感じられ存分に味わうことができると判断したのだ。

 小さくスクエアな印象のボディーが「クラシカルな一眼レフっぽさ」を強調しているところもいい。クラシック系のカメラにことさらの興味を持っていない私が、なにゆえそこに惹かれたのか? ハタからの見た目が人畜無害の側に大きくシフトしてくれるのがスゲー助かるからである(笑)。首から下げていても、手に持っていても、X-T20のこぢんまりとした佇まいは、不審者感6割減の効果を発揮。とりわけ、開放F値 F2の、これまたクラシカルなテイストあふれる外観の単焦点レンズを装着しているときの「ワタシ悪い人じゃありませんから」アピールには絶大なものがある。それと比較すると、例えばソニーα6000シリーズに写りの良いレンズ(だいたいデカい)を装着しているときの怪しさったら…ねぇ…(笑)。

 ちなみに、私がX-Pro2にまったく興味を示していないのは、これはもう完全に個人の好みのモンダイ。あのデキすぎのスタイルがちょっと苦手なのだ。あれをスッと構えていると、社会的には人畜無害な雰囲気になるかもしれないけれど、写真界的にはなんだかちょっと面倒くさい人に見えちゃうじゃん(笑)。だから今のところ避けている状態にある。そこまでオトナになりきれていないのだ。

独立した露出補正ダイヤルを備え、その操作性もまぁまぁ良好。メカダイヤルによる補正幅は±3EVだが、露出補正ダイヤルを「C」ポジションにすると電子ダイヤルで±5EVの補正ができるようになるというマルチな使い心地が◎(XF23mmF2 R WR使用、ISO200、1/2400秒、F2.0、-2補正)
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遠景の描写にときおりクセを見せることを除けば、X-Trans CMOS IIIの画に不満はほぼなし。かつての1600万画素でも十分な仕上がりが得られていた実力はそのままに2400万画素化されたことで、戦闘力が格段に向上している印象だ。AWBの精度も高い(XF23mmF2 R WR使用、ISO200、1/105秒、F2.0、-2補正)
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X-T2と比べちゃうと少し見劣りするかもしれないEVFも、単独で使っている限り不満を感じることは皆無。縦位置時にファインダー内表示が縦位置対応に切り替わる機能もちゃんと搭載している(XF23mmF2 R WR使用、ISO200、1/180秒、F2.0、-0.3補正)
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