5月末に登場したソニーのフルサイズミラーレス一眼「α9」が写真ファンの間で大きな話題になっている。高速連写の最中にファインダー像がまったく消失せず、しかもまったくの無音・無振動で撮影できるといった点が「デジカメの常識を超えている」と注目されているのだ。さまざまなデジタル一眼レフやミラーレス一眼を使ってきた落合カメラマンにとっても、相当インパクトが大きかった様子。今回は番外編として、いち早くα9を試す機会を得た落合カメラマンにファーストインプレッションをまとめてもらった。

 デジタル一眼レフが一般的になってから写真を始めた人と、フィルム時代から写真にこだわりを持って(いるつもりで)接してきている私のような古代人の間にある埋めようのない溝が何なのかといえば、それは「連写」というものに対する順応性と価値観なのではないかと感じてきているここ10年。シャッターボタンを押しっぱなしにして無遠慮に連写をするという撮り方がどうしてもできないでいる私なのである。

 そんな「錆びついた感覚を引きずるワタシ」が今回、ハイレベルな連写能力も自慢ポイントのひとつにしているα9を使ってみたワケなのだが、いやー、ビックリしたね。妙なこだわりを捨てきれないジジイでも平気で「無遠慮な連写」ができちゃうんだもん。なぜか? α9の連写には「罪悪感」を抱くことがないのだ。振動はないしブラックアウトもない。電子音を止めてしまえばシャッター音すら耳に届かない。「あーっ、今オレは無闇に撮りすぎてる! ムダ撃ちしてるっ!!」と自覚する隙を与えずカメラが撮影者の一歩先を突っ走る――α9は、そんな「新しい」撮影感覚を与えてくれたのである。

5月末に販売が始まった「α9」。ボディー単体の実売価格は49万円前後で、在庫は潤沢にある。装着しているレンズは純正の望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」。希望小売価格は32万円で、7月発売予定
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 撮影タイミングを知らせる工夫は備わっているけれど、それはファインダーで青色系の光が他人事のように点滅するだけで、撮影者が自らの行為を振り返り自分を律することの助けにはならないというのが率直な印象。α9って、フライ・バイ・ワイヤ的な使い心地というか、ダイレクトにカメラを扱っている感触が希薄なのである。

 というワケで、私はきわめてベーシックに電子音(疑似シャッター音)で撮影タイミングを把握しながらの撮影が一番しっくりくると感じることに。まさか、ここにきてニセのシャッター音(とはいいつつもα9の疑似シャッター音はコマ速にちゃんと連動し、スローシャッター時はちゃんと“スローな音”になるなど完成度は高い)に頼ることになるとはねぇ……。