ギフトシーズンの12月をピークに、万年筆の品ぞろえが充実しているこの時期。そこで、デザインだけでなく、機能面にもきちんとコストがかけられた2万円以上の高級万年筆を選んだ。基準は“使ってみたくなるもの”。高級万年筆は、それほど量産しないので、うっかりすると市場からなくなることもある。欲しいモノを見つけたら、早めに入手することをお勧めする。

万年筆ならではの書き味が実感できるパイロット「カスタム845」

パイロット「カスタム845」(税別5万円)
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 パイロットの「カスタム845」は、エボナイト削りだしの軸に漆をコーティング。しっとりと指になじみ滑りにくい、「書くこと」に特化したような万年筆だ。エボナイトはゴムのような素材で、滑りにくくホールド性能が高い。また、長く使うほど指になじむのだ。しかし、むき出しだとあまりキレイではないし、ややゴムの臭いもするので、そこを日本古来のコーティング素材である漆で仕上げている。このエボナイトと漆の組み合わせは万年筆の軸の素材として優秀で、世界中で高級万年筆に使われている。

 18金の大きなペン先は先端に向けて大きくえぐられたような曲線を描いていて、ペン先の周りの見通しがとても良い。直線的なデザインはモダン、かつ指になじんで、それもまた「書く道具」であることを主張しているようだ。

大きなペン先と太い軸なのにモダンに見えるのは、直線的なシンプルなデザインだから
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18金の15号ペン先。とても柔らかいタッチで、紙の上を滑らかに走る
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柔らかく指に吸い付くようなエボナイト+漆コーティングの軸は、使うほどになじんでいく
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 大きい万年筆に大きなペン先の組み合わせは、実は繊細な文字が書きやすい。インクフローが良く、日本語を書くために進化したパイロットのペン先はほとんど筆圧がいらないので、ペン先を紙に押し付ける必要がない。極端に筆圧が強い人には向かないかもしれないが、この万年筆で筆圧をかけずに書くことに慣れれば、書くことに力がいらないということが分かる。そういう意味では、カスタム845は、万年筆の「書きやすさ」とはどういうことかを教えてくれるペンともいえるだろう。

インクはコンバーター/カートリッジ共用式。インクフローが良いのでコンバーターがお勧め
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