シンプルに見せているこだわりがすごい

 細部を見ても、例えばクリップはラミー2000同様、根元にバネを仕込んだもので、金属のたわむ力を利用したものではなく、クリップ自体が可動する構造。軸とグリップの間に全く段差がないのに、カチッとはまるキャップ、ツルンとして見えるが、しっかり握ることができて滑らないグリップの加工、キャップを外して持ったときの重量バランスの良さなど、「使う」ことをデザインするジャスパー・モリソン氏らしい、そして、シンプルに見せるためのアイデアと技術を重視するラミーらしいペンに仕上がっている。

内蔵されたバネで開閉するクリップ。ラミーの刻印はここに入っている。ただ、クリップだけ光沢感のあるパーツなのが、ちょっと浮いているように感じる
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ほぼ真っすぐな棒状に見えながら、少しだけ膨らみのあるボディーの形状が、持ったときのカッコ良さになる
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 発売を記念して銀座伊東屋で行われたイベントでは、ジャスパー・モリソン氏とも親しい工業デザイナーの山中俊治氏がアイオンについて、「ラミー2000に勝負をしている、新たなシンプリシティ」と評していた。オマージュであり、挑戦であるという見方に私も全面的に同意する。ギフトにも自分使いにもよい、長く使い続けるための良いペンなのだ。

山中俊治氏によって分解された「アイオン ボールペン」。かなり凝った構造で、外からはそれが見えにくいのだそうだ。山中氏はこのボールペンの芯を出すときの回転の感触の良さを絶賛していた
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(文・写真/納富廉邦)