万年筆と一緒にそろえたい限定インク

 インクは限定品も多く、コレクションしている人もいる。また、出荷されているロットが売り切れると、次の出荷がいつになるか分からないことも多く、欲しいインクは見つけたときに買っておいたほうが良いとさえ言われている。

 限定品では、セーラー万年筆×キングダムノートのコラボレーション商品である「源氏物語」シリーズのインクが面白い。2カ月に1本の万年筆と2色のインクを限定発売するシリーズのインクの第1弾は、「源氏物語 瑠璃君(るりぎみ)」と「源氏物語 山吹の細長(やまぶきのほそなが)」の2色(各2160円)。万年筆の玉鬘に合わせて、玉鬘が身に付ける装束の山吹の細長と、玉鬘の幼名「瑠璃君」にちなんだ色だ。特に山吹の細長は、発色が難しい山吹色を実用で使えるレベルに持っていっているのを評価したい。瑠璃君もほんのり紫がかった青が品が良い。4月中旬発売、現定数各50個なので、欲しい人は急いだほうがよいかも。

「源氏物語 瑠璃君」で書いた文字を拡大。濃いけれど透明感のある青だ
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「源氏物語 山吹の細長」で書いた文字を拡大。明るいオレンジ系の色だが、はっきりした発色で実用的だ
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 プラチナ万年筆の「クラシックインク」は古典インクと呼ばれるもので、染料が発達する前の伝統的な製法を使って作られたもの。ブルーブラックのインクは耐光性、耐水性に優れ、文字が長く消えないということで公文書に使われてきたが、それは、ブルーブラックが鉄分をインクに混ぜて作るインクだったためだ。

 伝統的な製法では、インクに鉄分を混ぜて作る。紙にしみ込んだ鉄分が酸化することで、文字を紙に定着させているのだ。だから、長期間の保存に耐えられる。しかし、最近では手間もかかるし、酸性のインクになるので鉄のペン先では使いにくいということもあり、ブルーブラックも染料で作るところが増えている。プラチナ万年筆は国内では唯一、古典的な製法で作るブルーブラックを販売し続けていたメーカー。その技術を生かし、6色の古典製法で作ったインクを発表したわけだ。

プラチナ万年筆「クラシックインク」(全6色、各2000円)
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60cc入りの小さなボトルもクラシカルなムードが漂う
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 カシスブラック、フォレストブラック、シトラスブラック、カーキブラック、セピアブラック、ラベンダーブラックの全6色は、どの色にもブラックと付いているように、時間経過とともに黒ずんでいく。その経過も楽しめるインクだ。ただし、インク自体が酸性で粒子も大きめなので、インクを入れたまま長時間放置すると、インクが詰まったり、ペン先が錆びたりする。毎日書いていればそう気にすることもないのだが、長く放置する可能性のある人は、プラチナ万年筆のスリップシール機能を搭載した万年筆など、気密性の高いタイプでペン先が金のものを使おう。もちろん、数日放置したくらいでどうにかなるものではない。

ラベンダーブラックで試してみた。書いた直後は明るい紫色
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2時間後、すでに文字の中心辺りから黒ずんできているのが分かる
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 セーラー万年筆の水性顔料インク「ストーリア」は、くっきりした発色と、明るい色でもしっかり存在感のある筆跡で人気のインクだ。その小型タイプが登場した。20mlの小さな瓶なので机の上に置いてもかわいらしい。たくさんのインクを使ってみたい人向けといえる。

 顔料インクは粒子が大きく、長時間放置するとインク詰まりを起こしやすいので、少量買って試すといった場合にもこの小さいタイプは便利だ。万年筆をプレゼントする際に、お試し的にインクを添える際にも、この20mlという量はちょうどいい感じだ。

セーラー万年筆「ストーリア 20ml」(各1000円)
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ボトルもとても小さい。写真はスポットライト(イエロー)。ほかに、ファイヤー(レッド)、ダンサー(ピンク)、ナイト(ブルー)、マジック(パープル)、バルーン(グリーン)、クラウン(イエローグリーン)、ライオン(ライトブラウン)の全8色
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ライオン(ライトブラウン)を使って書いてみた文字のアップ。こういう明るい色の輪郭がクッキリするのは顔料インクならでは
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(文・写真/納富廉邦)