「83.7%」という驚異的な聴取率で世間を驚かせた沖縄県読谷村のコミュニティー放送局 「FMよみたん」は何をしたのか。そのストーリーには現在のマーケティングに重要なポイントが凝縮されていた! ドミノ・ピザ ジャパンCMOの富永朋信氏が仲宗根朝治社長に迫る。

左がドミノ・ピザ ジャパンCMOの富永朋信氏、右が沖縄県読谷村のコミュニティー放送局 『FMよみたん』の仲宗根朝治社長
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富永: じゃあ、ちょっと話を変えて、今のFMよみたんの話をお伺いします。どんな思いで局を運営されているのでしょうか。

仲宗根: そもそもコミュニティー放送局というのはそれぞれ市町村に1局ずつみたいな感じでつくられていて、全国に300くらい。沖縄県には18局くらいあって、そのなかで10番目にできたのがFMよみたん。2017年11月で9年になりました。

 この放送局自身は私が代表でやっていますけど、地域の41人の株主でつくられているものですから、株主に還元しないといけない。こんなちっちゃい会社ですから、売り上げを伸ばすよりも地域のためになる事業を増やしていくほうが地域のためということで今は動いています。

 私が伝えたいのは、前回の東ティモールの話と同じように、やっぱり地域の情報は自分たちで発信する。読谷の人間が読谷の情報を読谷の人たちのために発信するというやり方でなければ、コミュニティー放送局は存続できないんじゃないかなと思うんですね。

 その結果として、開局2年後の2010年に愛知県の中京大学の方々が村内で調査をしたところ、聴取率68.5%という数字が出て話題になりました。そして4年後に追跡調査をしたところ、83.7%という数字が出て。

富永: ほお。

仲宗根社長はFMよみたんのパーソナリティーも務める
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村内調査の結果、「83.7%」という驚異的な聴取率が明らかに
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有名人が呼べないなら「地域の人を有名人にしたい」

仲宗根: これは本当に驚異的な数字だということで、中京大学の加藤晴明教授が「沖縄にこんな放送局がある」と発表したんです。なぜここまで地域の人々が聴いているのかといろいろ質問されましたが、やっぱり今お伝えしたように本当に地域の細かい情報を発信することかなと。

 まず、本当にお金のない小さい放送局なので、有名な人を呼んで番組を作ったりはできない。それなら「地域の人を有名人にしたい」と思いました。例えば読谷村の婦人会の面白いおばちゃんに司会をさせたり、地域の高校で一番面白い人を番組のパーソナリティーにしたりして、地域のスターをつくり上げていく。地域だけのスターにもなりかねないですけれども、そのほうが受けがいいわけですよ、身近ですからね。

 そして、「この前ラジオでしゃべっているのを聴いたよ」と本土や海外の人たちから声をかけられると、やっぱりうれしくなってしまう。そういう地域に密着したローカル色あふれる放送をしている。それは僕が知っているこの人がしゃべっているから、この放送局が言っていることは信じられるというような部分なんですね。

 ボランティアでやっている人たちは楽しくてやっているわけです。そうすると、彼らは自分が好きなことをやるわけですから、一生懸命になるんですよ。番組は週1回1時間ですから、パーソナリティーさんは番組が終わると6泊7日で取材に行くようなものです。

FMよみたんのパーソナリティーは高校生から主婦まで多彩
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