みなさん、こんにちは。ドミノ・ピザ ジャパンの富永です。

 JAL(日本航空)が新サービス「どこかにマイル」を発表しました。これは同社の顧客サービスの核となっているJALマイレージバンクの新しいメニューで、6000マイルを拠出して旅行日程を登録すると4つの行先が提案され、この4つを承諾すると、後日このうちのどれかの航空券が手配されるというものです。

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 なんともワクワクするこのサービス、ポイントとなるのは、

・通常の国内特典航空券と比べてはるかに少ないマイル数で航空機が利用できること(通常だと東京-大阪のような近距離でも往復1万2000マイル必要)
・行き先は航空会社から案内されるまで分からないこと

の2点でしょう。

 特に、このサービスを際立てている後者の特徴については、

・提案された4つの候補地が気に入らなければ、再提案が受けられる
・友人などJALマイレージバンクのアカウントホルダーと一緒に申し込める

 など、ユーザーフレンドリーな仕組みが盛り込まれており、気軽にサービスが楽しめるようになっています。

 このサービス、想像力を膨らませて使い方を考えると、さまざまな視点から面白い可能性が見えてきます。そこで本稿では、いくつかのステークホルダーの視点から、このサービスによりもたらされる作用やインパクトについて考察してみたいと思います。

マイレージプログラム本来のビジネスモデルに回帰?

 航空会社にとってマイレージサービスは、一義的には優良顧客の囲い込み施策です。顧客がフライトしたマイル数をポイントとして付与し、ポイントがたまると特典として航空券と交換できる仕組みは、航空会社のプログラムとしてきれいにまとまっています。

 また、マイレージサービスが開発・導入された当初、特典航空券は基本的に空席(になると予想される在庫)の有効活用策と想定されていました。特典の提供にコストがあまり発生しない効率的な仕組みと位置づけられていたのです。

 しかし類似のサービスを航空各社が導入すると過当競争が起き、サービスの設計と運用がそうした合理性を逸脱してしまう事態になります。こうなると、特典の提供も空席想定分以上の在庫を当て込まなければいけなくなったり、特典と引き換えるマイル数のバーゲンが起きたりして、サービスが高コスト構造になる危険があります。

 まず、「空席想定分以上の在庫を当て込む」という点について考えてみましょう。常識的に考えて、国内線の空席率は区間によってバラツキがあると思われます。羽田―札幌・沖縄・福岡など利用者が多い便は比較的空席率も低い。特典航空券は有料の航空券と同じ需要を分け合っていますので、このような便では空席がそもそも少ないところに特典用座席も準備しなければならず、本来なら販売できる座席を犠牲にすることになります。

 そこに「どこかにマイル」が入ってきたら、どういう事態になるでしょうか。行き先は基本的にJAL側が4つ選定して提案しますが、そこにユーザーの意思は介在しません。つまり、日々変化する空席在庫を横目で見ながら、空席を埋めるような原則で4つの選択肢を提案すれば、空席の有効活用というもともとの理念に近い形で運用できます。これによってマイレージサービスのコスト構造は航空会社にとって好ましいものになると想像されるわけです。

日付と人数、時間帯を選ぶと、4つの行き先候補が表示。OKなら必要事項を入力して申し込むと、3日以内に行き先決定の通知が届く
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