“国産なのに手ごろでおしゃれな腕時計”として人気のブランド「Knot(ノット)」の戦略にはマーケティングに重要なポイントが凝縮されていた! ドミノ・ピザ ジャパンCMOの富永朋信氏がノットの遠藤弘満社長と対談し、4回に分けてその秘密に迫る。第1回「手ごろな国産腕時計『ノット』、意外な誕生の秘密」、第2回「創業1年以内に『ガイアの夜明け』に出ると決めてました」、第3回「若者が腕時計をしないのは『いい出合い』がないだけ」に続く第4回(最終回)。

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富永: ノットの時計が最初に世に出たのは、吉祥寺の路面店からということでいいんでしたっけ。

遠藤: ネットが最初です。世界で戦うために、私どもみたいなベンチャーが世界中にリアルショップを設けて世界中で売っていけるかといったら、ほぼ無理なことです。じゃあ、ネットを活用すれば地球の裏側まで製品を販売することができるだろうということで、まずはやっぱりネットで立ち上げていこうと。

 ネットから始めたもう1つの理由は、私どものカスタムオーダーという仕組みですね。時計の本体とストラップを自由に組み合わせられるシステムなのですが、これをリアル店舗でやるにはスペースや人員などの関係でなかなか難しい部分がありまして、ネット上でいろんな組み合わせを試すことができるという利点を考えると、まずはネットで立ち上げていくべきだと。

 そしてネットで商売をしようと考えた場合、動線の近さなどを考えても、PRもネット上でしていくべきだということで、クラウドファンディングを使ったわけです。クラウドファンディングはネットで資金を調達するものなので、ここで成功すれば距離感的には非常に近いですから。

 さらに、私がビジネスの参考にしたのは、米国のワービーパーカー(Warby Parker)という眼鏡ブランドです。もともとはリアル店舗を持たず、ウェブサイトを通じてリーズナブルに眼鏡を展開していたのですが、突然、ニューヨークの一等地に家賃1000万円くらいしそうな大きなお店を作ったんです。しかも、そこでは商品を売らない。見て、試着をして、注文は店内にあるiPadで行って、あとで自宅に届くと。

 それを見て、リアルとオンラインという双方のメリットが今後必ず必要になってくるだろうと。カスタムオーダーの楽しさとか、腕時計を持ったときの重みとか着用感もすごく大事になってくると思いました。

 ただ、いきなりリアル店舗を始めてしまうと、店舗の賃料やスタッフの人件費がかかりますので、それを上回る売り上げを常にキープしないといけなくなる。お客様にカスタムオーダーを楽しんでもらおうという思いで始めたにもかかわらず、「なんでこんな売り上げが悪いんだよ」「売れ、売れ、売れ」と、コンセプトがどんどんおかしくなってきちゃうわけです。私もかつてそういう経験がありました。絶対にそうなってはいけないので、リアルが赤字でもやっていけるように、「ネットで“飯代”をしっかりと稼げるようになってから」という気持ちで始めたのが良かったんじゃないかなと思います。

 1店舗目は2015年3月4日、吉祥寺にオープンしました。私どもの創業は2014年3月4日なんですが、実は1年以内にリアルを出すと決めていました。本当にギリギリ、ほぼ強引に3月4日に滑り込みで間に合わせたという感じでしたが(笑)。

ノットの遠藤弘満社長
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